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アニメの「原作改変」はなぜ起こる 脚本と原作の難しい関係【この業界の片隅で】

新作アニメ番組が始まるたびにネットでは必ず話題になる、脚本の問題。「この脚本は面白い」「いいやダメな脚本だ」など、毎回のように議論は百出しても、その脚本がどのように作られているのか、意外なほど知られていません。また、よく言われる「原作通りの脚本」とは、いったい何を意味しているのでしょうか。

「原作通り」は脚本づくりの大前提

「原作に忠実」な映像化も人気の要因のひとつ『鬼滅の刃』 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
「原作に忠実」な映像化も人気の要因のひとつ『鬼滅の刃』 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 コミックスやライトノベルなどの原作をアニメ化する場合、脚本を原作通りに作るのは大前提です。脚本づくりはアニメーションの制作業務に含まれており、制作業務を行う際には必ず、「制作業務委託契約」や「原作利用許諾契約」のような、契約を前もって締結します。きちんとした制作スタジオであれば、脚本家個人と「脚本家契約」も締結します。それらの契約には、「原作の持つ表現を可能な限り尊重して作って下さい」というようなことを意味する文言が、含まれているのが普通だからです。

 したがって、とても原作通りとは言えないほどセリフや筋書きが改変されている場合は、「(1)原作側から改変して欲しいと希望が出された」「(2)映像表現として成立させるために、そのようにせざるを得なかった」「(3)制作現場の統制が取れておらず、原作側の意向が契約を踏みにじる形で無視された」の、どれかと考えて、ほぼ間違いないでしょう。

 最も多いのは(2)でしょう。ですが、これは商業作品の脚本を原作付きで書いたことのある方や、脚本制作にまつわる実務を経験されたことのない方には、イマイチぴんと来ないかもしれません。原作通りに脚本を作るのがそんなに難しいのかと、不審に思われる方もいるでしょう。

 それが、なかなかに難しいことなのです。

 難しさを理解していただくには、まずは新作アニメ番組の脚本がどのように作られているか、ざっくりと説明した方がよいかもしれません。番組によって異なりますが、おおよそ、次のような流れになっているはずです。

 まずは、シリーズ構成の担当者が、番組全体の構成案を作ります。「第1話では原作のここからここまでをベースにここまで描いて、第2話はここまでで……最後はこんなふうに終わります」というような、お話としての大きな流れのことです。各話脚本を担当する脚本家は、その構成をもとに、エピソードごとの脚本を制作します。

 もちろん、構成が決定するまでには構成会議があり、脚本が決定するまでには脚本(シナリオ)会議があります。どのような内容にするのか、方向性についての指揮は監督がとりますが、原作サイドの意向が最優先されます。監督や原作サイドが「これで行きましょう」と言うまでは、会議は何度も繰り返し行われます。

【画像】「原作改変」が物議をかもしたアニメ(5枚)

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