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アニメの「原作改変」はなぜ起こる 脚本と原作の難しい関係【この業界の片隅で】

脚本は直し=改稿を繰り返して完成する

アニメの脚本家は必ずしも書きたいものを書けるわけではない(画像:写真AC)
アニメの脚本家は必ずしも書きたいものを書けるわけではない(画像:写真AC)

 脚本会議で話されたことを原稿に適切に反映させるのは、脚本家の重要な仕事です。会議の内容を無視して直しを行わない場合、間違いなく大問題になります。

 よほどの大物脚本家でない限り、「では、降板していただいて結構です」と告げられるのが普通でしょう。アニメに限らないのですが、脚本家が「自分はこう書きたいんだ」と思って書いた内容がそのまま映像になる方が、映像作品ではむしろ珍しいのです。

「第1稿」「第2稿」「第3稿」「決定稿」のような表記が、脚本の表紙にクレジットされているのを、ご覧になったことはないでしょうか? これは、脚本会議が行われ、その都度、原稿が修正されたことを意味しています。

 また、脚本はざっくりとですが、枚数も定められています。映像作品は厳密な尺=長さに基づいて制作されますので、仕様書となる脚本も、それに応じた長さでなければならないからです。各話30分=正味の映像尺は22分~23分程度のTVアニメシーズですと、1話につきペラ(200字詰め原稿用紙)70枚~80枚程度でしょうか。

「原作のここからここまでをベースにここまで描いて……」というシリーズ構成を渡され、これをベースに1話分の脚本を次の脚本会議までに作ってきて欲しいと、依頼を受けたとします。ところが、原作に目を通してみると、とてもじゃないが枚数に収まりきる分量ではない。やむなく一部の場面を削って脚本を作成したものの、脚本会議の席上で、監督からも原作サイドからも「削って欲しくない場面なので、次回の打ち合わせには、その場面も追加した第2稿を提出してくれ」と言われてしまう……こんな例は珍しくありません。

 ある場面を削って尺に収まるように書けばそれで済むという、単純な話でもありません。そうすることで、求められる面白さが充分に表現できないどころか、前後のつながり自体損なわれて、お話として成り立たなくなることもあり得るからです。

 解決策として、「原作の持つ表現を可能な限り尊重しつつ」物語の前後を組み替えたり、オリジナル要素を追加したりします。それをやった時点で、厳密な意味での「原作通りの脚本」ではないことになります。

【画像】「原作改変」が物議をかもしたアニメ(5枚)

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