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勝利まであと一歩だった?『北斗の拳』でケンシロウを「止めた」意外な男とは

ケンシロウを無力化した意外な敵とは?

ケンシロウに立ちはだかるアミバ(右上)が描かれる、『北斗の拳』Kindle版6巻(コアミックス)
ケンシロウに立ちはだかるアミバ(右上)が描かれる、『北斗の拳』Kindle版6巻(コアミックス)

 ケンシロウを止めたもうひとりの拳法家とは、そのトキに成りすましていたアミバです。アミバは独学で北斗神拳を習得した天才です。劇中では新たな経絡秘孔を開発するために、生きた人間を「木人形(デク)」として犠牲にする悪人として描かれます。

 筆者は、実はアミバは最強クラスの拳法家だったのではないかと考えます。

 劇中で、治療と称して子どもを殺害したアミバに対して、ケンシロウは怒りに燃えて戦いを挑みますが、アミバはこれを全て防ぎます。この時、アミバはトキのふりをしていますが、拳を交えてもケンシロウはアミバをトキだと思っているのです。つまり、アミバはトキに近い実力を備えていたことになります。

 ケンシロウは、北斗神拳を一緒に修行したジャギの拳は「スローすぎる」と評していますから、アミバの実力が本物並みでなければ、すぐに気づいたことでしょう。

 そして、アミバは自ら開発した秘孔・激振孔(げきしんこう)により、少年の父を殺害します。北斗神拳継承者であるケンシロウですら、激振孔は解除できませんでした。その上でアミバはケンシロウの隙をついて、秘孔・戦癰(せんよう)を突きます。

 ケンシロウは一時、完全に動きを封じられています。ここでアミバはケンシロウをいたぶり、「秘孔封じ」で動けるようになったケンシロウに逆襲されて敗北します。しかし、ケンシロウが動けなかったのは演技とは思えず、アミバがすぐに止めを刺せば敗北していたでしょう。

 ケンシロウは「本物のトキが突いた秘孔なら、破れなかった」と言っていますが、これはケンシロウのトキへの尊敬心から来るセリフでしょう。実際にはトキの秘孔も破っていますから、アミバへの評価を下げるものではありません。

 部下に離反される極悪人として描かれ「うわらば」という断末魔もあって、やや間の抜けた敵として描かれがちなアミバですが、動けないケンシロウの激振孔を突けば勝利していたと考えるなら、最強クラスの強敵として評価してもいいのではないでしょうか。最強の強敵・ラオウでさえ、ケンシロウを秘孔で無力化することはできなかったのですから。

(安藤昌季)

【画像】ケンシロウに負けて「うわらば!」で散った天才男…今なお活躍する作品たち(4枚)

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