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本当は怖い『ウルトラマン』の宇宙人 子供がトラウマになった怪奇演出、異質な考え方

ウルトラシリーズには、さまざまな宇宙人が登場します。そのなかでもシリーズ第2作『ウルトラマン』に登場する宇宙人は、他のシリーズに比べて怪奇的なイメージが強くなっていました。今回はそんな、子供にとってトラウマになりそうな宇宙人を振り返ります。

何を考えているのか地球人には理解不能な存在

バルタン星人が表紙の「ウルトラ怪獣DVDコレクション」1巻(講談社)
バルタン星人が表紙の「ウルトラ怪獣DVDコレクション」1巻(講談社)

 ウルトラシリーズにはさまざまなタイプの侵略宇宙人が登場します。しかし、シリーズでもっとも宇宙人に異質なものを感じるのは、やはり第一期シリーズの『ウルトラマン』かもしれません。

 あくまでも筆者の持論ですが、『ウルトラマン』に登場する敵宇宙人は他のシリーズの明確な侵略者たちと違った、異質なイメージがあるように思います。人間、地球人との考え方が大きく異なる雰囲気を持っている存在。そんな宇宙人たちについて振り返ってみましょう。

 まずは第2話「侵略者を撃て」に登場した「宇宙忍者バルタン星人」です。バルタン星人が地球に来た本来の目的は、宇宙船の修理と欠乏した予備パーツの調達でした。そして、宇宙船にいた20億3千万人のバルタン星人たちは、狂った科学者の実験で故郷を失うも、たまたま宇宙旅行中だったことから難を逃れていたのです。

 こう振り返ってみるとバルタン星人は難民のような存在で、本来なら保護対象でしょう。しかし、彼らは突如として行動を侵略行為に切り替えてきました。そして、巨大化してウルトラマンと戦うことになります。

 筆者がバルタン星人に異質さを感じるのが、ハヤタとの交渉の際に「生命」の意味を理解できなかったことです。ここが地球人の概念と大きく異なります。その後、いくつかの設定でバルタン星人の命の概念は個としてより、集団としての要素が強いことがわかります。昆虫の生態に近いとされているのです。

 そう考えると、分身するバルタン星人の姿は実はひとりでなく、それぞれが本体で不必要なときはひとつの身体を共有しているだけなのかもしれません。核ミサイルの直撃を受けて脱皮したかのように復活した姿も、ひとりが犠牲になっても他の個体が後を引き継いだものとも考えられます。

 このように不気味なバルタン星人の生態ですが、その後の復活劇以降は普通の侵略宇宙人と同じ扱いになり、その出演頻度からウルトラシリーズでも屈指の人気者になりました。しかし、初見のエピソードだけ見ていると、その不気味さは愛しがたいものです。

 続いては第18話「遊星から来た兄弟」に登場した「凶悪宇宙人ザラブ星人」。にせウルトラマンに化けたことで有名です。

 にせウルトラマンに変身して本物のウルトラマンの信用を失墜させようとしたり、地球人に近づいて自分を信用させたりするなど、ザラブ星人はメンタル面は比較的、地球人に近い存在なのかもしれません。

 しかし、地球人の概念と大きく異なるのは、ザラブ星人が他の文明を滅ぼすという目的に特化している点です。地球を欲しているわけではなく、侵略者ではありません。侵略目的でやってきた他の悪の宇宙人たちとは違い、どちらかというと悪魔的な愉快犯だと感じられます。

 そういう意味では、宇宙の平和を無償で守るウルトラマンと対の存在と言えるかもしれません。ザラブ星人が文明を滅ぼすこと自体には特に意味はなく、使命として淡々と遂行しているのでしょう。

 ちなみにザラブ星人の由来はブラザー(兄弟)を反対にしたもので、劇中で自分の名前を母国語で「兄弟」という意味と言ったのは、嘘ではなかったのかもしれません。

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