漫画がスポーツ人気に与える影響を考察…『スラダン』に比べ『黒子』は? 部員倍増の例も
マイナースポーツの人口は増えたり減ったり?
●競技自体の認知度を上げた『アイシールド21』の影響はいかに?
バスケットボールもバレーボールも、もともと人気は高かったスポーツですが、アメリカンフットボールに関しては『アイシールド21』(原作:稲垣理一郎、作画:村田雄介)で初めて、どんなスポーツか詳しく認識したという人も多いのではないでしょうか。
2002年から2009年の連載期間中、本作はアメフトにどんな影響を与えたのでしょうか。競技人口自体、日本では2万人ほどのマイナースポーツです。またアメフト部がある高校は全体の約2%という状況のなか、連載開始の2002年に約2000人だった高校アメフト部員数は、2007年にはなんと4000人に増加。この間、大学や社会人の競技人口は微増・微減にとどまっていることからも、多感な少年たちの心を『アイシールド21』が焚きつけたとみて間違いないでしょう。
●あれ?まさかの減少……『行け!!南国アイスホッケー部』
同じくマイナー競技を取り扱った作品では、『行け!!南国アイスホッケー部』(著:久米田康治)が挙げられます。1991年から1996年まで「週刊少年サンデー」で連載された本作は、途中からスポーツマンガではなく下ネタギャグマンガへとダイナミックな路線変更をした稀有な作品としても知られています。
本作のアイスホッケー界への影響は、どうだったのでしょうか。あくまでひとつの地域の例ですが、苫小牧工業高等専門学校が平成14年に発表した調査を見る限り、連載期間中に苫小牧市内のアイスホッケー競技人口は小・中学生ともに「減少」していました。衝撃です。もちろん『行け!!南国アイスホッケー部』が何か良からぬ影響を与えたということではないと思いますが、こんなパターンもあるようです。そろえる器具が多く、ケガも多い危険なスポーツである点も関係しているのかもしれません。
(片野)