4月6日は「ジムの日」 悲運のMS、「ジャブローに散る」のイメージが強すぎた?
70年以上にわたる「RGM」の歴史
ジムの活躍は「一年戦争」だけにとどまりません。「RGM」の型式番号を継承した改良型や派生機が、後の宇宙世紀でも多く活躍しているからです。
まずは「グリプス戦役」で多く登場した「RGM-79R(RMS-179) ジムII」。諸説ありますが、一年戦争で生きのびたジムを改修したジムIIがRGM-79R。それとは別にグリプスで新たに生産した機体がRMS-179 とも言われています。
おもな改修点は全天周囲モニター・リニアシートの導入だったようで、武装の追加ではなく、装備の近代化が目的でした。そのため、ティターンズとエゥーゴの戦いが激化して新型MSが随時投入されるようになった状況についていけず、序盤の早い段階で戦場から姿を消してしまいます。
このジムIIにさらなる近代化を施して延命させたMSが「RGM-86R ジムIII」。ジムIIのようなマイナーチェンジでなく、「ガンダムMk-II」などの技術を転用することで外見から大幅に変わっています。しかし、あくまでも改修前はジムIIだったことから、すでに当時の「第一次ネオ・ジオン抗争」では力不足だったことは否めず、生産数もそれほど多くありません。
ちなみに雑誌企画『ガンダム・センチネル』に登場する「ヌーベル・ジムIII」は、完全な新規製造機だったそうです。つまり本来のスペックを持ったジムIIIが、ヌーベル・ジムIIIということになるでしょう。
こうしてみると、ザクに付けられたI、II、IIIは何代目を表しているのに対して、ジムはバージョンを示しているという微妙な違いがあります。その代わり、ジムには名前こそ継いでいませんが、後継機がその後にわたって作り続けられている実績がありました。
たとえば、グリプス戦役でエゥーゴ側が主力とした「MSA-003 ネモ」。ジム系列では珍しい重厚感を持つデザインで、見た目からジムのパワーアップタイプというイメージがあります。もっとも「RGM」でないことから、直系とは言いづらいかもしれません。
「第二次ネオ・ジオン抗争」から30年近くの間、前線で活躍した長寿の機体が「RGM-89 ジェガン」。細身でジム以上にシンプルな作りですが、それゆえに改良型が多く登場しています。まさに量産型らしい基本に忠実なMSかもしれません。
このジェガンと同時期に「RGM-88X/RGM-90 ジェダ」というMSがあります。当初はリ・ガズィ以前にアムロ・レイが搭乗していたジェガンのプロトタイプのひとつとされていましたが、最近では設定変更によりジェガンより高性能だったが、コストの問題で正式採用が見送られたということになりました。
やはりジェガンと近い時期に製作されたのが「RGM-96X ジェスタ」。本来はユニコーンガンダムのサポートをするために開発されたジェガンの上位機種です。ジム系列とは思えない重厚感のあるデザインで、ラー・カイラム所属のトライスター小隊で使用されていました。
MSが従来よりも小型化された時代にもジム系列は登場しています。それが「RGM-109 ヘビーガン」。従来のMSの問題点だった戦闘継続時間延長、コスト削減効果など、小型MSの性能として一定の評価は得ましたが、満足いくものではなかったと設定されています。
この後、「ザンスカール戦争」で見ることになる「RGM-119 ジェムズガン」や「RGM-122 ジャベリン」など、ジムが登場した一年戦争から70年以上の時が経ってもなお、その後継機は戦場で運用されていました。
主役機であるガンダムの陰に隠れがちですが、ジムもまた後続の機体に影響を与えた名機だったと言えるかもしれません。
(加々美利治)