マグミクス | manga * anime * game

退場が早すぎた? 『HUNTER×HUNTER』の再評価したい強キャラ3選

卓越したバトルセンスで魅せる人気マンガ『HUNTER×HUNTER』。作中には多種多様な「念能力」の使い手が登場しますが、そのなかには相性や運の悪さで惜しくも敗れていった者たちがいます。名勝負で敗北を喫しながらも、ファンから類まれな強さを称えられている強者に注目してみると、同作の新たな魅力に気づけるかもしれません。

退場させるには惜しすぎた戦士たち

画像:写真AC
画像:写真AC

 2018年以来、休載が続いている『HUNTER×HUNTER』。思い返せば数々の名バトルを生んだ本作ですが、一番の特徴はバトルマンガにつきものの「強さのインフレーション」がほとんどないこと。個人の単純な強さだけでなく、念能力の相性や心情の機微などでどんでん返しの結果になった戦いもありました。今回は運の悪さで敗北・退場したキャラのなかでも、もっと評価されるべき逸材3人を紹介します。

●幻影旅団トップの怪力・ウボォーギン

「幻影旅団」のひとりであるウボォーギンは、結成当初から団に籍を置く古参のメンバー。強化系の念能力の使い手で、強者ぞろいの幻影旅団でも、腕相撲では誰にも負けない腕力を持っていました。

 さらに、銃弾を生身で受けてもものともせず、バズーカ砲を片手で止めるなど身体能力も桁外れ。幻影旅団に限らず全キャラを含めても、パワー系では最強格となるかもしれません。

 純粋な力比べなら負け知らずであろうウボォーギンですが、クルタ族虐殺に関わった過去のせいでクラピカに命を狙われることに。人一倍、仲間意識が高いところを突いたクラピカの戦術によって、本来のパワーを発揮できないまま命を落としました。

●念能力バトル初期の噛ませ犬・カストロ

 天空闘技場の闘士であるカストロは、念能力を組み合わせた拳法の使い手。ヒソカの名言「容量のムダ使い」を出させた張本人です。独学で念能力を習得しており、手を虎の牙や顎に擬態させる強化系の能力だけでなく、具現化系・操作系・放出系の念を駆使して分身を作るなど、複数の念能力を駆使していました。

 しかし、器用貧乏さと念への知識不足がヒソカとの戦いで露呈。自分に合った念ではないためか、分身に割く集中力が大きく、完璧な分身が作れないという致命的な弱点をヒソカに指摘されていました。

 さらに、実戦不足なのか「凝」を怠ったことでヒソカの「伸縮自在の愛(バンジーガム)」を見抜けず敗北。ですが念の特質上、両立が難しい具現化系と放出系の念をひとりでこなすあたり、才能は折り紙つきです。分身より簡易なものを具現化するか、念に詳しい師匠がいたなら、ヒソカを超える存在になっていたかもしれません。

●セリフがひとり歩き? 名無しの殺し屋

「おそろしく速い手刀 オレでなきゃ見逃しちゃうね」で知られる彼は、名もなき殺し屋として登場。このセリフで幻影旅団の団長・クロロ=ルシルフルの変装を見破っただけでなく、手刀も見逃さない目ざとさで強者の風格を漂わせていました。

 罠と知りながらもクロロの挑発に乗ったり、クロロを追い詰め念能力「盗賊の極意(スキルハンター)」に収められた「密室遊魚(インドアフィッシュ)」を使わせたりと、名無しのモブとは思えない大健闘をしています。クロロ自身も彼との1対1の対決を望んで買って出た様子で、拳を交える前から互いに実力を認め合っているようでした。セリフばかり取り上げられがちですが、強者としても周知されてほしいものです。

 いわゆる「かませ犬」として消えていった3人ですが、全キャラで誰が最強かと問われたときに名前が挙がってほしい存在でもあります。運命の歯車が少しでも狂っていれば、メインキャラとして活躍していたかもしれません。

(ハララ書房)