【シャーマンキング30周年への情熱(65)】「究極のかまってちゃん」と言われたハオの真意とは?
2021年4月から放送中のTVアニメ『シャーマンキング』第50話。最終決戦に向け、作品テーマを読み解くための重要な情報が次々と描かれていきます。「究極のかまってちゃん」と言われたハオの想いなどを掘り下げます。
ハオの孤独を理解していた麻倉葉

2022年4月7日放送のTVアニメ『シャーマンキング』第50話。いよいよ放送も残り2話となりました。それだけに、重要な情報が凝縮しています! 今回は筆者がこれまで数回にわたって記事で取り上げてきたことの集大成と言ってもよい回で、さまざまな答えが示されていました。
まず、ハオが持つ「心を読む能力」について。「いつも誰かの顔色ばかりうかがって生きてきた」乙破千代(おはちよ)の能力をハオが身につけられた理由は、ハオもまた同じ内面を持っていたからでした。そしてオパチョが葉たちと同行するのを許していたのは、ハオが「究極のかまってちゃん」だからだと、ホロホロがズバリ言っています。
つまりアンナが言う「臆病で執念深い、かわいい小者」であるハオは、自分を理解して欲しい、受け入れて欲しいと願っているものの素直に言えず、同じ能力を持つオパチョを葉たちに預けて擬似的な仲間にすることによって、遠回しにメッセージを送っていたということになるのだろうと思います。
ハオ組はハオが不幸な境遇にある者たちを集めて作りましたが、本当に彼が求めていたのは上下関係ではなく「仲間・友達」だったのでしょう。しかし彼の素直になれない性格や根底にあった強すぎる復讐心、絶対的な力の差はそれを許しませんでした。心を読む能力も、知られれば誰もが去って行くと思えば言えませんでした。その寂しさを吐露したこともあります(第44話)。
そんななか、自己を確立していたラキストや同じ能力を持つオパチョは、ハオの能力をまったく恐れないので離れていかない……だから信頼できて好きだということになるのでしょう。ここまでハオの内面を理解できれば、彼がシャーマンキングになるのを阻止できるかどうかはともかく「執念という魔王」からは救い出せそうな気がします。そうなれば、ハオが普通の人間への恨みから望んだ「シャーマンキングダムの建国」も阻止できることになります。
なお麻倉葉が、ハオのシャーマンキング即位を止めることと、ハオの野望を阻止することのどちらを重視しているかと言えば、恐らく後者です。葉はハオの代わりのシャーマンキングには誰がなっても構わないと言っていました(第46話)。
それでは次に、第48話でチョコラブが知りたがっていた道蓮(タオ・レン)の強さの理由など、仲間たちについて掘り下げたいと思います。