『鬼滅の刃』物語を左右する「名なし重要キャラ」6選 柱や無惨に影響を与えた人は?
蜜璃も無惨も「名もなき重要キャラ」に人生を変えられた!?

●無限列車の乗客たちと乗務員
多数の行方不明者を出したいわくつきの「無限列車」に乗り込んだ炭治郎、伊之助、善逸は、炎柱・煉獄杏寿郎の指揮下で下弦の壱・魘夢(えんむ)と戦います。
魘夢の使う血鬼術は、強制的に相手を眠らせて幸せな夢や悪夢に陥れ、精神の核を破壊するというものです。慎重派である彼は、幸せな夢をエサに人間を使って相手を攻撃していました。
「無限列車編」でも、乗客として乗り込んだ一般人たちが煉獄さんや炭治郎らの夢に侵入。精神の核を破壊しようと画策するのです。彼らひとりひとりには名前はなく、まさに「名もなき」刺客でした。また、夢の中に入った彼らを通して、煉獄さんの複雑な家庭環境や炭治郎の家族との絆を見ることもでき、伊之助と善逸の超強力な自我も知れたので、彼らも「名もなき重要キャラ」に違いありません。
その他、切符を切って魘夢の血鬼術を発動し、炭治郎たちを眠らせた車掌や炭治郎を刺した運転手も、与えたダメージの大さから、十分に「名もない重要なキャラ」と呼べるでしょう。
●耳をひっぱられた女の子
「遊郭編」で善逸の戦う原動力となったのは、ひとりの禿(かむろ)でした。禿とは、上位の遊女に仕える見習いの少女を指し、衣食住の費用はその遊女が負担することになっています。
京極屋に潜入した善逸は蕨姫花魁(わらびひめ・おいらん)にいじめられた禿の泣き声を聞き、駆けつけたところで蕨姫と遭遇。「音やばいんだけど 静かすぎて逆に怖いんだけど」と、彼女が鬼であることに気付き、おののきながらも、善逸は耳を引っ張られて悲鳴をあげる禿を助けたのです。しかし、上弦の陸・堕姫(だき)である蕨姫にはかなわず、とっさに受け身を取るも、意識を失うほどぶっ飛ばされてしまいます。
その後、堕姫の兄の妓夫太郎(ぎゅうたろう)が登場し、戦いがいよいよ熾烈になろうという時、善逸は堕姫に「耳を引っ張って怪我をさせた子に謝れ」と迫るのです。
この「遊郭編」での善逸は、伊之助が驚くほど頭も技もキレキレでした。そんな善逸の原動力となったひとりの「名もない禿」は、「重要キャラ」に違いありません。
●甘露寺蜜璃を振ったお見合い相手
明るく朗らかでかわいらしい恋柱・甘露寺蜜璃ですが、17歳の時につらい経験をしています。髪の毛の色と筋肉の密度が一般の人の8倍もある特異体質、そしてそれを維持するための驚異的な食欲が原因でお見合いが破談になったのです。
その後、髪を黒く染めたり、食事の量を控えたりして努力した蜜璃ですが、自分らしく、あるがままで人の役にたてる場所を探して鬼殺隊にたどり着き、ついには柱にまでのぼりつめました。
もし、蜜璃のお見合い相手が彼女を気に入って結婚していたら、恋柱・甘露寺蜜璃は誕生しなかったことになります。蜜璃の進む道を決めたということで、この「名もなきお見合い相手」も、かなりの重要人物と考えてよいでしょう。
●無惨を治療した医師
無惨を鬼にした「平安時代の医師」が描かれているのは、原作マンガではほんの3コマです。無惨という極悪非道な鬼の始祖の生みの親である医師は、この物語の最重要人物に違いありません。
彼はマッドサイエンティストというわけではなく、20歳まで生きられないと言われた無惨が、なんとか少しでも永らえるように力を尽くす「善良な医師」でした。そのうえ、日光という弱点はあるものの、ほぼ不死をかなえる薬を作り出したのですから、まぎれもない天才医師です。それにもかかわらず、名無しである上に無惨にあっさり殺されてしまうのは、無惨という鬼の始祖を生み出したことの報いなのかもと深読みしてしまいます。
※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記
(山田晃子)