『ゴールデンカムイ』のヒロインは誰なのか問題 「すけべすぎるマタギ」を推す声も?
今や国民的人気マンガとなった『ゴールデンカムイ』。本作のヒロインはアイヌの少女アシリパさんですが、ネットではどうやら議論がわかれているようです。一体、どういうことでしょうか?
屈強な軍人でもヒロイン性がある物語
2022年4月28日発売の「週刊ヤングジャンプ」22&23合併号で、約8年にも及ぶ連載に幕を下ろすことが発表された『ゴールデンカムイ』(著:野田サトル)。明治の北海道が舞台の同作ではアイヌが遺した金塊をめぐり、帝国軍人、脱獄囚、はたまた元新撰組らによるサバイバルバトルが繰り広げられます。破天荒なキャラクターたちと、史実を巧みに盛り込んだ緻密なストーリー設計が織りなす極上のエンタメ作品です。
さて人気マンガ作品としてこれからも長く読み継がれていくであろう『ゴールデンカムイ』ですが、連載最終回を前にした2022年においても、ネットでは盛んに議論がされている問題があります。それは「『金カム』のヒロインは誰なのか(そもそもいるのか)?」という議題です。この記事では、ネットで「あの人がヒロイン」とそれぞれの推す声を適宜参照にしながら、同問題を掘り下げていきます。
●「アシリパさん」では……いけないのでしょうか?
この議題における「ヒロイン」とは、単に辞書的な意味で「女性主人公」を意味するものではなさそうです。もしそうでなければ、『金カム』には主人公・杉元佐一の相棒であるアイヌの少女アシリパ(リは小文字)がいるのですから。軍人(経験者)と非軍人と目線を切り替えつつ進む同作において、杉元が軍人側の主人公とすればアシリパさんは非軍人側のもうひとりの主人公です。「新しい時代のアイヌの女」である彼女は、類い稀なサバイバル技術と精神力で、新しい時代を生き抜きます。
『金カム』の物語の駆動力は杉元、アシリパの両輪によって生み出されています。つまり、「『金カム』のヒロインは誰?」という問いが生まれるようになったのは、まず「アシリパさんが旧来の意味でのヒロインではない」という認識が共有されたからなのでしょう。さて、そうなると誰がこの物語のヒロインの座にふさわしいのでしょうか?
●谷垣源次郎はすけべ過ぎるヒロインなのか?
アシリパさん以外のヒロインとなると、主要女性キャラクターはだいぶ限られてきます。インカラマッ(ラは小文字)の名が次にあがりそうですが、正ヒロインとしてはやや妖艶すぎるきらいも。むしろ「一体、いつからヒロインが女性となったのか?」という声も聞こえてくるのが、『金カム』の奥深さです。
ネットではインカラマッより、むしろ彼女のパートナーにして「すけべ過ぎるマタギ」でおなじみ、谷垣源次郎を推す声が多数あります。何かにつけて太ったことを指摘されたり、サーカス編ではうまく踊れずしくしくと泣いたり、ときに妙な文脈で「お色気要因」扱いされたりと、なるほど「昭和の少年誌のヒロインっぽさ」として見るなら、ゲンジロちゃんは間違いなくヒロインです。いや、やっぱり違うかもしれません……。