世界にゾンビがあふれたら、愛猫はどうなる? 野生をなくした姿に「大丈夫なのか」
漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ『妄想猫観察』第53回。世界にゾンビがあふれたら……ゾンビと闘う能力がない漫画家はすぐにゾンビ化してしまいそう。猫もゾンビ化するのでしょうか?
猫もゾンビ化するのか?
寝ぼけた猫を拾って膝に乗せてみる。
膝は嫌がる猫なのでぬるりと脱出するのだが、人の膝上は暖かい。一瞬迷う。そして後ろ足だけ膝に乗せたまましばらく考えていたりする。面白かわいい生き物である。考えるのが面倒になったのか、そのまま撫でろとばかりに尻を押しつけてきたりもする。自由な生き物だ。猫もみフィーバーはうれしいが、こんなことで万が一外がゾンビであふれたりしたら野生で生きていけるのだろうかと心配にもなる。マンガなど描き暮らしてる飼い主に闘う能力は皆無だ、早々にゾンビ化してしまうに違いない。大丈夫なのか。こうなったら一緒にゾンビになるか。
映画やらなんやらのゾンビもの、犬はたまにゾンビ化しているのを見かけるが、猫はどうなんだろう。そんなに数を見ていないので分からないのだが、あまり見かけない気がする。高いところにも上れるし、隙間からもぬるりと入り込めるので、運用性は高そうだ。しかし、現代人は不健康なのでゾンビ猫の健康に適した食べ物で無いように思う。やはりゾンビ猫用キャットフードを準備しなければ。ゾンビ魚を使用し新鮮なゾンビ肉なども織り交ぜゾンビミルクも用意すべきだろう。
どこかのホームセンターやら病院やら学校やらに立てこもり暴力やらロマンスやらを90分程度の放送時間に納めたであろうであろう主人公たちが、重い腰を上げた政府と結託し、ゾンビの掃討作戦をひっさげてやってくる。おそらく放っておいてもらえはしないのだろう。その時はぜひうちの猫にも飛びかかっていってほしいものである。野生はその時に目覚めるのかもしれない。
(迷子)