シュールな特撮ヒーロー『レッドマン』50周年 「赤い通り魔」と呼ばれ、現代で人気が爆発
数ある円谷ヒーローのなかでも異質な存在と言われた『レッドマン』。発表当時は普通のヒーローとして認知されていたレッドマンが、いかにして「赤い通り魔」などという物騒なあだ名で呼ばれるようになったのかを、ひも解いてみましょう。
第二次怪獣ブームのなかでも異質な存在?
本日4月24日は半世紀前の1972年に特撮ヒーロー作品『レッドマン』が放送開始した日。つまり今年で50周年となります。当時の話題から21世紀に入ってからのブレイクまで、『レッドマン』が歩んだ道を振り返ってみましょう。
本作は、一般から募集された子供たちが参加するバラエティ番組として毎日(月〜日)放送していた『おはよう! こどもショー』内のいちコーナーとして製作された作品です。この『おはよう! こどもショー』では、ロバくんやガマ親分などの人気キャラを生み、司会を担当していた海老名美どりさんが共演をきっかけに体操のおにいさんの峰竜太さんと結婚するなど、話題の多い番組でした。
そのなかで『ウッドペッカー』や『トッポ・ジージョ』、『たまげ太くん』といった5分程度のショートアニメのように、番組の1コーナーとして放送されたのが本作『レッドマン』です。
本作は、第二次怪獣ブーム誕生のきっかけとなった『ウルトラファイト』の新規撮影部分と同様に、ミニチュアのない屋外でヒーローと怪獣が戦うというコンセプトで製作されました。製作はウルトラシリーズでおなじみの円谷プロです。
『レッドマン』という名称は、それまでにもウルトラシリーズの仮題として使われてきた名前ですが、本作で初めて正式にヒーロー名として採用されました。戦う怪獣は前年に放送していた『帰ってきたウルトラマン』で実際に撮影で使われたものを中心にしつつ、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』のアトラクション用怪獣の改造、時にはウルトラシリーズ以外の作品からも使用しています。
本作が後年、シュールな作品として評価された要因のひとつが、「ドラマ性の欠如」でした。たとえば前作にあたる『ウルトラファイト』ではプロレス風の解説で作品の流れを作っています。次回作にあたる『行け!ゴッドマン』では人間が登場してセリフがあるなど、ドラマ性が若干強化されていました。
しかし、本作では主人公のレッドマンが怪獣を見つけて戦いを挑み、それを倒すまで延々と戦う場面だけで終始しています。その間、流れるBGMも重苦しいものが多く、一種独特の世界観を作っていました。
これには理由があります。それが「怪獣おじさん」の存在でした。本放送時はナビゲーターとして怪獣おじさんが解説して、本作のストーリーテラーの役目を果たしています。この解説が、ドラマ部分の味付けを大きく担っていました。
このような理由もあって、筆者を含む当時の子供たちは、ごく普通のヒーロー番組のひとつとしてとらえており、現代のように『レッドマン』を特殊な存在と評価していたわけではありませんでした。詳細は後述しますが、昨今のよな評価は目からうろこでした。おそらく、そこまで真面目に見ていなかったのかもしれません。
あまり集中して本作を観られなかった理由。それは、当時の子供にしか体験できなかった本作の放送形態にありました。