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「アニメ聖地」生んだ『究極超人あ〜る』OVA 地元出身者が見た「まさかの展開」とは

高性能アンドロイドなのに「お間抜け」な主人公、R・田中一郎が春風高校に転校してきて「光画部(写真部)」に所属し、わりと常識人の現部員と、変人揃いのOBたちの間で揉まれながら、お祭り騒ぎの学園生活を送っていく……。80年代人気コミック唯一の映像化は、今なお愛されるアニメ作品として語り継がれています。

実在の駅や町を描いた「聖地巡礼アニメ」

OVA『究極超人あ〜る』を収録したDVD「EMOTION the Best 究極超人あ~る 」(バンダイビジュアル)
OVA『究極超人あ〜る』を収録したDVD「EMOTION the Best 究極超人あ~る 」(バンダイビジュアル)

 1985年から1987年にかけてゆうきまさみ先生が「週刊少年サンデー」で連載していた『究極超人あ〜る』は、近年でも新作マンガが描かれ、可動フィギュアシリーズ「figma」でも商品化される、伝説のマンガ作品です。

 その『究極超人あ〜る』唯一のアニメ化作品として1991年にリリースされたOVA(オリジナルビデオアニメ)は、74分という短い時間のオリジナルエピソードでありながら、原作の雰囲気を余すことなくギュギュッと詰め込んでいました。

 なかでも一番の注目ポイントは、実在の駅を巡るスタンプラリーを描いたことでした。しかも、ゴールの長野県伊那市に至る飯田線のルートには、筆者の出身地である駒ヶ根市も含まれているのです。今回は、田切駅と伊那市駅の間に位置する駒ヶ根市出身の筆者が、OVAを見た当時の感想と、アニメ聖地として注目を集めている地元の「今」を紹介します。

山本正之さんの楽曲「飯田線のバラード」が心に染みる

 OVA版『究極超人あ〜る』の時系列は、原作でいうところの最終回を迎えた後のこと。光画部を困らせることに執念を燃やす元・生徒会長でお嬢様の「西園寺まりい」が、実家が経営する旅行会社を通じて「達成不可能」なスタンプラリーを企画したところからはじまります。

 期日までにゴールの伊那市駅に到着すれば旅費がタダになるということで、「あ〜る」たち光画部の面々は何も知らずスタンプラリーにチャレンジするわけですが、行き当たりばったりの光画部OB、鳥坂さんのせいで道中はトラブルばかり! 彼らは無事に東京から長野県伊那市まで辿り着けるのか……?

 原作では「N県の昇天峡にある」と濁されていた「山田さん温泉」が、作中では長野県飯島町の田切にあることが言及されたり、下山村駅から伊那上郷駅までの路線を徒歩でショートカットする「下山ダッシュ」にチャレンジしたりするなど、ネタの宝庫としてファンに愛されています。

 特に「下山ダッシュ」は、実際にチャレンジした人の動画が今なお投稿されており、そこからも本作の人気のほどがうかがえます。

 また昭和アニメで数々の楽曲を歌唱してきたシンガーソングライターの山本正之さんが作詞・作曲・歌唱する「飯田線のバラード」も、のんびりとした曲調に癒やされる、とても素敵な楽曲でした。

【画像】「声」だけでも面白かった! 復刻された『究極超人あ~る』ボイスドラマ(6枚)

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