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『ガンダム』ダイクンの死因は暗殺? 病死? もし生きてたら? 史実・資料から検証

『機動戦士ガンダム』に登場する「ジオン公国」。その国名はスペースノイドの自立を主張した政治家「ジオン・ズム・ダイクン」から取られたものです。ダイクンは、1年戦争が始まる11年前の宇宙世紀0068年に病死(暗殺説もあります)し、側近のデギン・ソド・ザビにサイド3の統治権を奪われます。しかし、もし彼が生きていたらどうなっていたでしょうか。

そもそもジオン・ダイクンは「暗殺」されたのか?

ジオン・ズム・ダイクンの死から始まる物語が描かれる『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』 (C)創通・サンライズ
ジオン・ズム・ダイクンの死から始まる物語が描かれる『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』 (C)創通・サンライズ

 人気アニメ『機動戦士ガンダム』には、スペースコロニー国家「ジオン公国」が登場します。これは月の裏側にあるスペースコロニー群「サイド3」の議長であったジオン・ズム・ダイクン(以下ダイクン)の名前を取った国家です。

 ダイクンが議長であった「ムンゾ自治共和国」は、宇宙世紀0068年にダイクンが病死(暗殺説もあります)したことで、ダイクンの側近デギン・ソド・ザビが権力を掌握。デギンを「公王」とした「ジオン公国」に移行します。ジオン公国は地球連邦との対立路線を歩み、宇宙世紀0079年に始まったのが『機動戦士ガンダム』の「1年戦争」です。

 宇宙世紀0068年・サイド3「ムンゾ自治共和国」の議長であるダイクンは、演説の場で、倒れます。側近のデギンはダイクンの愛人(苗字が同じなので後妻かもしれません)アストライアに「議長は突然心臓の発作を起こされました。ダイクンの最も古き同志として、このデギン・ザビ、一族を挙げてお仕え申しあげます」と発言します。

 デギンの発言に対し、もうひとりの側近であるジンバ・ラルはアストライアに「ザビ家がダイクン暗殺の下手人。サスロ・ザビ辺りが毒を持ったのです」と主張します。

 しかし、筆者は、ダイクンは病死と推測します。冨野監督は「ダイクンはデギンに暗殺された」と小説『密会 アムロとララア』で書かれていますが、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』を手掛けた安彦良和総監督は「(ダイクンが)暗殺されたという設定だと、ザビ家は政権を乗っ取った悪役だという勧善懲悪ものになってしまう。それはガンダム的じゃない」として、病死のように描いています。

 もし、ザビ家がダイクンを暗殺した当事者なら、ダイクンの遺児であるキャスバル、アルテイシアも計画的に確保、あるいは暗殺するはずです。しかし、あっさりと政敵・ラル家に確保されています。これは違和感があります。

 デギンがキャスバルたちを保護・後見する形にせよ、後々で暗殺するにせよ、ダイクン一家の確保は正当性担保に必要でしょう。ザビ家はサイド3のメディアと軍事力を握っており、サスロ・ザビは「ダイクンの死を連邦の暗殺と思わせる世論調査」を行っていますから、権力を奪うための計画的暗殺なら、ダイクン一家も「連邦の暗殺」として消せば、後顧の憂いはなかったでしょう。

 しかし、事実としてダイクン一家を乗せた車が群衆に取り囲まれているときに、現れたキシリア・ザビはランバ・ラルに力を貸して、脱出させています。キリシアは兄のサスロに「ランバ・ラルごときと(ダイクン一家の)三人を奪い合うのも大人げない」と発言し、叱責されていますが、ダイクンの死が暗殺ではないからこうなるのだと解釈できます。
 ダイクンは過労であったことが描かれており、筆者は「過労死」と考える次第です。

【画像】連邦軍が悲鳴! 1年戦争初期に猛威を振るったジオンのMS (5枚)

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