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アニメブームの影で「声優業界」は危機…音の責任者「それでも希望はある」

険しい声優業界「それでも希望はある」と語る理由

緒方恵美さんとの対談も収録されている、長崎氏の新著『埋もれない声優になる! 音響監督から見た自己演出論 』(星海社)
緒方恵美さんとの対談も収録されている、長崎氏の新著『埋もれない声優になる! 音響監督から見た自己演出論 』(星海社)

 国内外でアニメを楽しむ人が増えるほど、これまで以上にさまざまなタイプの声の演技が求められるようになっていくと考えられます。そのような発展に伴うニーズの拡大に、今後声優業界は対応できるのでしょうか?

「以前は専門学校や養成所などを経由し、旧来のアニメの演技に特化した狭い教育を受けてデビューするという流れがよく知られていました。最近は一般公募の声優オーディションが数多く開催され、そこからデビューする人が増えています。より多くの一般の人のなかから、従来の芝居にとらわれない若い人たちが声優を目指せる環境ができつつあります」

 単純な話、母数が大きければ大きいほど、優秀かつ幅広い人材がデビューする可能性は高くなります。業界への門戸が一般に開かれることで、アニメだけでなくさまざまなことに関心を持つ才能が声優業界でデビューし、アニメにこれまでにないセンスを持ち込んでくれることが期待できそうです。

「また、一般向けのオーディションであればベテラン声優と競合しませんから、新人にも役をつかめる可能性があります。そういったところから新鮮な才能が出てくることを声優業界は常に望んでいます。苦しい状況が続いていますが、希望は確かにある、と僕は考えています」

【長崎行男(ながさき・ゆきお)プロフィール】

長崎行男氏
長崎行男氏

音響監督・音楽プロデューサー。千葉県船橋市生まれ。法政大学経営学部卒。ホリプロダクション、ワーナー・パイオニア、ソニー・ミュージックエンタテインメントと音楽制作の現場でレコード制作に携わる。また、『シティーハンター』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』などアニメ作品から、ゲーム、映画など多岐にわたって音楽プロデュースを担当。現在は、音響監督・音楽プロデューサーとして活動し、「ラブライブ!」シリーズ、『KING OF PRISM』、『ワッチャプリマジ!』など数多くのヒット作を手がける。著書に『埋もれない声優になる! 音響監督から見た自己演出論』(星海社新書)

(いしじまえいわ)

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