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インパクト抜群、ファミコンソフト変わり種CM・3選「リンクが16歳のとーき!」

ファミコンの現役時代に流れていたテレビCMには、単にゲームソフトを紹介するだけでなく、演出の凝った「変わり種CM」も数多く存在しました。今回はファミコンソフトのTVCMに焦点を当て、リアルタイム世代の関心を引いたインパクト抜群な3本をご紹介します。

脳裏に焼き付くファミコンソフトのユニークなCM

『たけしの挑戦状』(タイトー)
『たけしの挑戦状』(タイトー)

 いつの時代も変わらず、新製品の宣伝時に多大な効果を上げてきたTVCM。その影響力はゲーム市場においても例外ではなく、家庭用ゲームソフトが大流行するきっかけとなったファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)が誕生した頃には、ゲームの魅力を知らしめるべく、すでに数々のCMが放送されていました。

 今回はファミコンの現役時代に放送されていたTVCMにフォーカス。とりわけてインパクトの大きかったものを筆者の独断で3本ご紹介します。

●『リンクの冒険』(任天堂)

 今なおシリーズ展開が続く人気アクションRPG「ゼルダの伝説」。その第2作目『リンクの冒険』のCMには、タレントの所ジョージさんが出演しています。

 左手の甲を差し出す子役の少女に対し、「おお! ハイラルの紋章!」と感嘆する所さん。その後、舞台はゲームショップからハイラルと思わしき世界へとチェンジ。ゲーム本編の設定とCM内の演出を紐づけながら紹介映像へと移ります。「リンクが16歳のとーき!」や「それこそが勇者の証!」といったセリフがとにかく印象的です。

 なお、所さんと子役の少女は『スーパーマリオブラザーズ2』および『ゼルダの伝説』のTVCMにも登場しており、そちらではリンクに「下手くそ!」と罵られて悔しがる所さんのお茶目な一面を拝むことができました。

●『たけしの挑戦状』(タイトー)

 ファミコンの登場初期に流れたTVCMは、真面目にゲーム内容を紹介するもの、いわゆるハウツー系CMが多く見られた一方、ゲーム紹介よりも演出に力を入れたテレビCMも存在しました。タイトーが発売したアクションアドベンチャー『たけしの挑戦状』はその筆頭と言っても過言ではありません。

 映像には監修を務めたビートたけしさんが出演しているものの、ゲームの説明などはほぼしておらず、「大根をすりおろしながら演歌(雨の新開地)を歌う」という独特すぎる演出。ブラウン管テレビが乱雑に置かれた暗い部屋に居座るたけしさんの表情が、何とも言えないシュールさをかもし出しています。

「2コンをマイク代わりに演歌を歌う」、「2コンに向かって”出ろ!”と叫ぶ」……などなど、映像内では音声認識を思わせる演出がしきりに入っていますが、肝心のゲーム部分にはほぼ触れられていません。「常識が、あぶない」というゲームのキャッチコピーを体現するがごとく、奇妙としか言いようがないTVCMでした。

●「ナムコット」シリーズ(ナムコ)

 最後にご紹介するのは、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテイメント)が手掛けたゲームシリーズ「ナムコット」のTVCM。対象ソフトごとになパターンが作られており、『たけしの挑戦状』ほど尖ってはないにせよ、いずれも演出面に力を入れているのが特徴的です。

 そのうち、草原の上で外国人の少年少女がファミコンで遊んでいるバージョンは特にキャッチーな仕上がり。「クーソーしてから、寝てください」、「クーソーは頭のコヤシです」といったナレーションの言葉遊びもさることながら、演者のそばでたたずむ色鮮やかなマスコットキャラクターの存在感も強烈。お茶の間の関心を引き寄せるには十分なインパクトでした。

「ナムコット」シリーズのテレビCMはどれも脳裏に焼き付くものばかりですが、筆者は『ファミリーサーキット』の販促CMがお気に入りです。見下ろし型レースゲームという内容を説明するために、映像内ではnamco隊(ナムコット販促ユニット)の隊員が身体を張った演出に挑戦。畳2帖ほどの板を取り付けたカートに乗り込み、ゲームをプレイしながらサーキットを爆走しているのです。

「ぶっちぎるぜー!」というCM内のナレーションに負けじと言わんばかり、バランスを保ちながら必死にコントローラーを握るnamco隊の面々。CGに頼らない彼らの勇姿は豪快で気持ちよく、繰り返し見たくなる引力を秘めていました。

(龍田優貴)

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