GWに見たい! 原作ファンも納得の実写化映画5選 キャスティングに成功した良作たち
「乃木坂46」が伝統的武道に挑んだ『あさひなぐ』

人気アイドルグループ「乃木坂46」の中心メンバーだった西野七瀬さん、白石麻衣さん、生田絵梨花さん、伊藤万理華さんらが共演したのは、こざき亜衣さん原作マンガの実写映画版『あさひなぐ』(2017年)です。伝統的武道に青春を捧げる女子高生たちの姿が凛々しく描かれています。
中学時代は美術部だったメガネ少女の旭(西野七瀬)は、高校では体育会系の「なぎなた部」に入部します。痴漢を見事に撃退した2年生の真春(白石麻衣)のかっこよさに憧れたのです。運動はからきしの旭でしたが、負けず嫌いの性格で地獄の夏合宿を乗り切り、一歩ずつ成長していきます。
なぎなた大会には個人戦と団体戦があり、アイドルグループとして活動する「乃木坂46」と共通するものがあります。各自が個性を発揮しなくては、アイドルグループは人気が出ませんが、同時にグループ内の調和も必要とされます。なぎなた特訓に励んだ西野さんたちの奮闘ぶりと、英勉監督のサラッとした演出がマッチし、爽やかなガールズ系スポ根ムービーに仕上がっています。
多部未華子&三浦春馬のダブル主演『君に届け』
ハートウォーミングな青春ドラマとして、多くの人に愛され続けているのは、多部未華子さんと三浦春馬さんがダブル主演した『君に届け』(2010年)です。椎名軽穂さんの原作マンガを、熊澤尚人監督が丁寧に実写化しています。
高校に入学した黒沼爽子(多部未華子)は、性格はとてもよいのですが、長い黒髪のせいで「貞子」と呼ばれ、友達ができずにいました。そんな爽子に対し、クラスの人気者・風早翔太(三浦春馬)だけは、明るく声を掛けるのでした。爽子の優しさに、他の生徒たちも次第に気づくようになります。
内向的な性格だった爽子は、翔太や千鶴(蓮佛美沙子)らと交流するうちに、明るくなっていきます。内面が変わることで、爽子の表情も大きく変わっていきます。多部さんの演技力、2020年に亡くなった三浦さんの王子さまぶりが忘れられない作品となっています。
大泉洋主演のゾンビ映画『アイアムアヒーロー』
主人公からサブキャラまで、配役がハマった実写化作品として、大泉洋さんが主演した『アイアムアヒーロー』(2016年)が挙げられます。『カメラを止めるな!』(2017年)に先駆けた、国産ゾンビ映画の成功例となりました。
売れない漫画家の鈴木英雄(大泉洋)が主人公です。気弱な英雄は人気漫画家のアシスタントとして冴えない日々を過ごしていましたが、全国各地で謎の感染病が広まります。感染者が凶暴化する異常事態となり、街はパニックに陥ります。
東京を脱出した英雄は、女子高生の比呂美(有村架純)や元看護師の藪(長澤まさみ)と出会い、決死のサバイバルを続けることに。半感染状態の比呂美は普段は眠っているのですが、英雄の窮地には目覚め、人間離れしたパワーを発揮します。英雄と比呂美の関係性は、『鬼滅の刃』の炭次郎と禰豆子を彷彿させるものがあります。
2009年から2017年にわたって連載された花澤健吾氏の原作マンガは全22巻ありますが、佐藤信介監督は1巻~8巻を映画化しています。アクション映画として、適切な判断だったと思います。この後、佐藤監督は実写映画『キングダム』(2019年)も大ヒットさせることになります。
原作の世界観をきちんと理解した上で、実写映画として再構築できる手腕を持つ監督の起用、そしてキャスティングの妙が、実写化映画を成功させる鍵だと言えそうです。
(長野辰次)