「PS5」の転売問題、「売れれば同じ」は通じない ゲーム業界ならではの悪影響とは?
限定販売のレア商品から品薄になった日用品まで、さまざまな転売が横行しており、最新ゲームハード「PlayStation 5」もその標的にされています。「転売目的の購入でも、企業が得る利益は同じ」と指摘する声もありますが、ゲームハードの場合は事情が異なっています。その理由と明確な悪影響とは?
発売開始から1年半、今も転売されるPS5

ここ数年、SNSやニュースサイトなどで「転売」という言葉をよく目にするようになりました。転売行為自体は昔から行われていましたが、限定商品や日用品(一時期のマスクなど)といった、世情に合わせた転売が昨今増えています。スマートフォンなどの普及で個人が売買しやすい環境になったのも、転売増加の一因でしょう。
たびたび問題視される「転売」ですが、実はそれ自体は違法な行為ではありません。一定以上の利益を得た場合の確定申告など必要な手続きこそありますが、扱う品物や状況によっては古物商許可証すら必要ありません。
そのため、転売屋(転売を行う者の通称)側が「転売目的で購入しても、企業に入るお金は同じだから問題ない」と主張するケースを見かけます。ですが、本当に「問題はない」のでしょうか。
業界や商品によって事情は異なりますが、転売がもたらす影響は少なからずあります。また、一般的な日用品などの転売問題とは全く異なる悪影響が、ゲームハードの転売には潜んでいるのです。
●転売で抽選倍率は上がり、エンドユーザーは入手難に
転売の絶対条件は、購入した価格よりも高い金額で売れる商品をチョイスすること。その点で現在最も適しているゲームハードは、PlayStation 5(以下、PS5)でしょう。
2020年11月12日に発売されたPS5は、今も需要が供給を上回っており、販売店の多くで抽選販売を実施するほど。この抽選に当たらなければ、PS5を買うことはできません。一部の店舗では先着販売を行っていますが、これも早々に売り切れています。
高い需要があり、これでしか遊べないゲームがあるので替えが利かず、単価が高いため利益も上積みさせやすいと、軽く考えただけでも転売に向いた条件がいくつもあるPS5。実際の比率は不明ですが、こうした転売目的の購入者の影響でエンドユーザーが抽選に漏れているのでは、といった話も出るほどです。
実際、Twitterなどで「また落選した」「何回応募しても全然当たらない」と落胆の声が飛び交う一方、フリマ系アプリでは「新品、未使用」と書かれたPS5本体が高値で何台も並んでいます。