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『シン・ウルトラマン』とともに見返したい、「メフィラス星人」ら人気怪獣&星人たち

日本のエネルギー施設を狙うネロンガとガボラ

「ムービーモンスターシリーズ ネロンガ(シン・ウルトラマン)」(バンダイ)
「ムービーモンスターシリーズ ネロンガ(シン・ウルトラマン)」(バンダイ)

 透明怪獣ネロンガは第3話「科特隊出動せよ」、ウラン怪獣ガボラは第9話「電光石火作戦」に登場しました。普段は透明で、姿の見えないネロンガは、電気を吸収するときだけ肉眼で見ることができます。固い殻で顔を覆っているガボラは、好物のウランがあるウラン貯蔵施設を襲います。

 現代の日本を舞台にした『シン・ウルトラマン』では、発電所や核廃棄物がネロンガやガボラに狙われることになりそうです。禍威獣として蘇ったガボラは、『新世紀エヴァンゲリオン』の使徒を思わせる新デザインとなっています。また、ネロンガが透明状態のまま戦ったら、かなり手強いはずです。日本のエネルギー政策が、物語のモチーフのひとつになりそうなところも見逃せません。

 宇宙飛行士が変貌してしまったジャミラの悲劇を描いた第23話「故郷は地球」、ウルトラマンや科特隊に倒された怪獣たちへの祈りが捧げられた第35話「怪獣墓場」なども『ウルトラマン』の忘れがたいエピソードですが、やはりファンの脳裏にはっきりと刻まれているのは最終話「さらばウルトラマン」でしょう。

 宇宙恐竜ゼットンの前に、正義のヒーローであるウルトラマンが敗北を喫するという衝撃的なフィナーレでした。今ある平和は絶対的なものではないこと、正義が必ず勝つとは限らないことを、ゼットンに倒されたウルトラマンの姿から子供たちは学ぶことになったのです。ゼットンが『シン・ウルトラマン』に登場するかは分かりませんが、他にも意外な禍威獣や外星人が登場する可能性はありそうです。

混迷する日本社会を再構築する庵野作品

 昭和時代の子供たちを熱狂させたウルトラマンは、令和時代にどんな物語として生まれ変わるのでしょうか。企画・脚本を手がける庵野氏は、1960年(昭和35年)山口県宇部市生まれです。『ウルトラマン』をリアルタイムで視聴して育ち、「オタク第一世代」と呼ばれています。

 大ヒット作『シン・ゴジラ』では「3.11」後の日本の在り方を、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年)ではTVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』が放送された1995~96年以降の「失われた時代」を、庵野氏は独自の視点から再構築したSFドラマにしています。

 オリジナル版『ウルトラマン』が放映された1966年~67年は、日本が高度経済成長期にあり、みんなが汗を流して努力した分だけ明るい未来が待っていると信じられていた時代でした。また、成田亨氏がクリーチャーやメカデザインを手掛けた『ウルトラマン』が口火となり、日本独自のポップカルチャーが花開くことにもなりました。庵野氏が生まれ育った昭和時代を、『シン・ウルトラマン』はもう一度見つめ直すような物語になるのではないでしょうか。

 空想、浪漫。そして、友情。

 そんなキャッチコピーが謳われている『シン・ウルトラマン』の公開が楽しみです。大人になって、すっかり忘れてしまっていた大切なものを、もう一度思い出させてくれる作品になっていればいいなぁと思います。

(長野辰次)

【画像】映画ではどう描かれるのか気になる! 『ウルトラマン』の怪獣、宇宙人たち(7枚)

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