女の子向けアニメ『魔法の妖精ペルシャ』 男の子もTVの前に座っていた理由とは?
1985年5月31日、『魔法の妖精ペルシャ』の最終回が放送されました。『魔法の天使クリィミーマミ』に続く、ぴえろ魔法少女シリーズ第2弾とも呼ばれています。アフリカ育ちの少女・ペルシャが妖精の国・ラブリードリームを救うために愛のエネルギーを集めるために活躍します。
男の子にも受け入れられていた『ペルシャ』
1985年5月31日は、スタジオぴえろによるTVアニメ『魔法の妖精ペルシャ』の最終回が放送された日です。アフリカ育ちの少女・ペルシャが妖精の国・ラブリードリームを救うために愛のエネルギーを集めるために活躍します。当初、無邪気だったペルシャが現実の重みを知り精神的な成長を遂げていくストーリーは、思春期を迎えた少年少女たちに大きな学びを与えてくれました。
『魔法の妖精ペルシャ』が放送されていた当時、筆者はまだ小学生でした。同時期には『キャプテン翼』も放送されて大きなムーブメントを起こしており、筆者も近所の公園で夢中になってサッカーボールを追いかけていた記憶がありますが、なぜか『ペルシャ』の時間になると筆者も友人たちも遊びを切り上げて家に帰り、TVの前に座っていました。
本来、女の子向けである『ペルシャ』を見ることは、当時の男の子にとっては少し恥ずかしい話だったはずです。しかしなぜか『ペルシャ』は少なくとも筆者の周囲では男の子にも受け入れられていたように思えます。
それはなぜなのか。そもそも『ペルシャ』はアフリカ育ちで天真らんまんな主人公・速水ペルシャが、魔法の力でさまざまな職業のプロフェッショナルに変身して問題を解決していく物語です。当時、思春期を迎えていた少年たちにとって、同年代の少女であるペルシャが大人になり、さまざまなトラブルを解決していく姿に、自分が大人になった日の姿を重ね合わせていたということもあるかもしれません。
当然、それだけではありません。序盤の『ペルシャ』は従来の魔法少女アニメのように1話完結の「魔法で解決していく物語」が展開していきます。しかし中盤以降は徐々にペルシャや周囲の人びとの心の動きが描かれていくようになっていき、時として魔法では解決できない現実もあることを思い知らされます。
終盤ではペルシャ自身も望まぬ別れを強いられてしまいます。魔法の力に頼ることなく人とのつながりで苦しい状況を乗り越えていく姿は、1年かけて人がどのように成長をしていくのかをアニメを通じて見せてくれていたのかもしれないとも思えるのです。