エグい原作をしっかり実写化したR指定のおすすめ映画4選 ゾンビも異常性愛も再現!
マンガの神様の大人向け作品を息子が実写化!
●『アイアムアヒーロー』R15+

『GANTZ』の佐藤信介監督が、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の花沢健吾先生による本格ゾンビマンガを実写化した『アイアムアヒーロー』。冴えない漫画家アシスタントの鈴木英雄が、謎のウイルスに感染し「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化した人々(ZQN)に襲われながら、逃亡する道中で出会った女子高生・比呂美や、元看護師・藪とともにZQNと戦い、生き延びていく姿を描きます。
うだつの上がらない主人公・英雄の冴えない日々が、徐々に不穏さを増していく世の中と並行して描かれる序盤の様子が印象的で、英雄の彼女がZQN化してから一気にゾンビ映画へとシフトしていく様に衝撃を受けました。ある種、洋画に出てくるようなゾンビほどモンスターっぽくないZQNは、少ししゃべることも相まってもともと人間だったことが感じられる分、ジャパニーズホラー感が出ていて恐怖心を煽ります。原作通りグロ、ゴア描写のオンパレードですが、戦闘能力の高いZQNを相手にする緊迫感を演出するのに必要な表現と言えるでしょう。ひとりの男が名前通り「英雄」になっていく物語は、ハラハラしながら見届けたくなります。
●『ばるぼら』R15+

「マンガの神様」手塚治虫先生による同名マンガを、実子である手塚眞監督が実写化した『ばるぼら』。異常性欲に悩まされている人気小説家・美倉洋介は、新宿駅の片隅で酔っ払っていたホームレスのような少女・ばるぼらに出会い、思わず自宅に連れて帰ります。美倉は彼女の奇妙な魅力に惹かれて追い出すことができず、さらには彼女がそばにいると創作意欲が湧いてくるのでした。ばるぼらは芸術家を守るミューズなのか、それとも破滅に追い込む魔性の女なのか……。
美倉とばるぼらが辿る運命は壮絶です。美倉の異常な欲求からなるシーンの数々はかなり衝撃的ですが、退廃的で耽美な雰囲気がダークファンタジー感を助長していて、話題となったエロティックなシーンもいやらしさよりも美しさが際立つように描かれていました。後半部分には特に映像化が難しかったであろう展開が待ち受けていますが、主演の稲垣吾郎さん、二階堂ふみさんの狂気を秘めた好演に見入ってしまいます。
(椎崎麗)