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「スーパー戦隊」にはカウントされず…不遇の「マイナー戦隊」を知っているか

同色の戦士がふたりもいる!?

今や名優として知られる奥田瑛二の初々しいヒーロー時代に注目したい『円盤戦争バンキッド』。画像はDVDジャケット(東宝)
今や名優として知られる奥田瑛二の初々しいヒーロー時代に注目したい『円盤戦争バンキッド』。画像はDVDジャケット(東宝)

『円盤戦争バンキッド』は先述の『忍者キャプター』と同じく、『ゴレンジャー』放送開始の翌年1976年に放送が開始された、フォロワー作品のひとつ。制作は東映ではなく『ゴジラ』でおなじみの東宝でしたが、日本テレビでの放送でした。東京12チャンネルが1976年4月に放送開始した『キャプター』に続き、日本テレビは10月には『バンキッド』を放送開始させ、バンキッドが終了するまでの半年間、テレ朝の『ゴレンジャー』を含めて「戦隊番組」が3本並走するという、特撮史上でも稀有な事態となりました。

『円盤戦争バンキッド』の敵は地球侵略を狙う異星人「ブキミ星人」。彼らのターゲットは大人ではなく子どもでした。自らの星が死滅する20年後、彼らは地球に移住する計画で、そのための前準備として、その頃大人になっている子どもたちを狙い、従順な「家畜」にするという遠大な計画を実行しようとしているのです。

 その計画をかぎつけた宇崎博士は、ふたりの孫とその学友ふたり、そして孫の家庭教師の青年の5人に「バンキッド」の力を与え、「少年円盤遊撃隊」に任命します。このチームは、リーダーの天馬昇(赤)が青年ですが、それ以外のメンバーは少年少女です。博士の孫の兄弟がドラゴン(黄)とラビット(黄)、クラスメイトがオックス(青)とスワン(ピンク)。それぞれ、「星座」がモチーフになっています。同色(黄)の戦士が常時存在するというのも、スーパー戦隊ではあまり見られないパターンです。

 主人公の天馬昇を演じるのは、若き日の奥田瑛二。毎回、ラストには視聴者に向かって「君は〇〇はないか? もし〇〇なら、気をつけろよ、もしかしたらそれはブキミ星人のせいかもしれない」と、教訓めいたことを語りかけるのがお約束でした。

 全26話で、毎回アルファベットをモチーフにしたブキミ星人が登場。毎回異なるブキミ星人のデザインは、『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』に登場する異星人や怪獣、メカなどをデザインした芸術家・成田亨の手によるもの。アバンギャルドで、どこか神々しくもあるデザインは、当時の子どもたちに大きなインパクトを与えました。
 
 また、「UFO戦争」の副題の通り、ブキミ星人の円盤と、バンキッドの操る戦闘機との空中戦も特撮で描かれます。1970年当時、海外ドラマ『謎の円盤UFO』などの影響で「UFOブーム」が巻き起こっていました。その影響を受けた作品が多数登場。アニメでは『UFOロボ グレンダイザー』(1975)、『UFO戦士ダイアポロン』(1976)といった作品や、ピンクレディーのヒット曲「UFO」(1977)などが発表され、「焼きそばUFO」が発売されたのもこの頃。

「戦隊」といえば「東映」というイメージが強いなか、「ゴジラ』シリーズでお馴染みの「東宝」も実は、『バンキッド』の後も『電脳警察サイバーコップ』(1988)や、『超星神グランセイザー』(2003)などの集団ヒーロー特撮を発表しています。『バンキッド』ともども、なんらかの形で現代に蘇ることを期待したいものです。

(やましなミミッチ)

本文を一部修正しました(5月29日8時56分)

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