逆に珍しい? 普通に両親と暮らしているジャンプ主人公たち 親が隠れ蓑の男も
ジャンプの主人公のなかで、普通に両親と暮らしているといえば誰でしょうか? 少年マンガの性質上、実は珍しいのです。その理由とともに紹介します。
「実家」と「両親」がなかなか揃いづらい少年マンガの主人公

『ONE PIECE』(著:尾田栄一郎)のルフィ、『HUNTER×HUNTER』(著:冨樫義博)のゴン、『NARUTO -ナルト-』(著:岸本斉史)のナルト、『鬼滅の刃』(著:吾峠呼世晴)の竈門炭治郎……「週刊少年ジャンプ」の人気作品のタイトルとその主人公の名前を羅列してみましたが、家族構成に少し注目します。舞台も時代設定も性格も違う彼らですが、「週刊少年ジャンプ」、というより少年マンガ全般の作品の主人公の多くは、未成年でも「両親と暮らしていない」ことがデフォルトだったりします。
さまざまな理由が考えられます。まず、「冒険」に出たら実家暮らしは不可能です。麦わらの一味が次の島による前に実家に帰っていたら、物語は一向に進みません。またそもそも『ONE PIECE』でルフィの出自が伏せられていたように、「両親、もしくはそのどちらかが不在の理由」が物語の鍵を握っていることが多いのも、理由のひとつです。また、いわゆる「学園もの」でも、被保護者であるはずの主人公がトラブルに巻き込まれているのに両親が放っておくこと自体、無理が生じてしまうので、最初から「ワケありのご家庭」に設定しておくなんてこともあるでしょう。
この記事ではこうした事情があってもなお両親と普通に暮らしている、そんなジャンプ作品の主人公たちを紹介します。彼らが実家で暮らしているのには、必ず理由があるはずです。
●「実家サスペンス」の最高峰『DEATH NOTE』夜神月
主人公が実家暮らしであることを逆手に取ったジャンプ作品が、『DEATH NOTE』(原作:大場つぐみ、作画:小畑健)です。主人公・夜神月は、第1部ではデスノートを手にした時点でまだ受験生。当然、実家で暮らしています。
途中、Lに怪しまれていることに気づくと、月は自室に監視カメラがあることを利用し、健全な高校生であることを周囲にアピールしながら、デスノートによる粛清を重ねていったのです。警察庁刑事局局長である父・総一郎の立場を利用するのにも、実家暮らしは有利でした。
●家族も濃すぎる怒涛のギャグマンガ『斉木楠雄のψ難』斉木楠雄
さて、ジャンプのギャグマンガの主人公たちはどうでしょうか。例えば『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』(著:うすた京介)の主人公、花中島マサルは一応、両親と暮らしてはいるようですが、「母」はこれでもかというほどぼやかされています。また『いぬまるだしっ』(著:大石浩二)の主人公、いぬまるくんはというと、他の園児たちの両親は描かれるのに対して、彼の家族構成は謎めいていました。どうやらギャグも例外ではないようです。
そのなかで、『斉木楠雄のψ難』(著:麻生周一)の主人公・斉木楠雄は両親と暮らしています。というか、両親がギャグの火種です。息子・楠雄が超能力者と気づいても、類い稀な順応力を発揮。優しい両親ではありますが、それ以上に迷惑なバカップルとして、楠雄を困らせます。両親キャラを持て余さず、しっかり利用した例と言えるでしょう。