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なぜ『ガンダム』の指導者はモビルスーツで前線に出たがる?理由はSF設定にアリ

『機動戦士ガンダム』では、ドズル、キシリアといった軍の幹部が、モビルアーマーに乗って最前線で戦う姿が見られました。続編の『機動戦士Zガンダム』では、この傾向がより強くなり、エゥーゴ、ティターンズ、アクシズの最終決戦では全勢力の指導者がモビルスーツで戦っていました。要人がなぜ、最前線で戦うのか、考察します。

最前線に出たがる軍の司令官たち

アクシズの指導者ハマーン・カーンは、ニュータイプ専用モビルスーツ・キュベレイに搭乗し前線を駆け抜ける。画像はハマーンが表紙に描かれる小説『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム〈第4部〉ザビ家再臨』(KADOKAWA)
アクシズの指導者ハマーン・カーンは、ニュータイプ専用モビルスーツ・キュベレイに搭乗し前線を駆け抜ける。画像はハマーンが表紙に描かれる小説『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム〈第4部〉ザビ家再臨』(KADOKAWA)

 人気アニメ『機動戦士ガンダム』と、その派生作品では、モビルスーツやモビルアーマーに搭乗し、自ら最前線で戦う司令官の姿が頻繁に見られます。例えばシャアは一年戦争終盤では大佐の地位にありますが、モビルスーツで出撃します。

 現実の軍隊では、大佐は大型軍艦の艦長や、連隊(1000~3000人程度の陸軍部隊)を指揮する部隊指揮官ですから、もしシャアが戦死すると、味方の指揮系統は大混乱に陥るはずです。というか、部隊を束ねる高級指揮官が、最前線で敵のモビルスーツと戦っていて、部隊指揮など執れるのでしょうか。

 最前線に立つのは、シャアだけではありません。キシリア少将は前線視察のためにモビルアーマー「アッザム」で前線に赴き、ガンダムと交戦します。ドズル中将もソロモン要塞の最高司令官の立場ですが、要塞陥落が避けられないと見るや、モビルアーマー「ビグ・ザム」で出撃して戦死しています。現実では中将と言えば、艦隊司令官や、一方面の戦線を任される軍団長ですから、司令官の生存による指揮系統維持は最優先されると考えられます。

 続編の『機動戦士Zガンダム』では、エゥーゴ、ティターンズ、アクシズの3勢力が三つ巴で戦うことになります。このうち、エゥーゴとティターンズでは指導者交代が発生します。そのことで、エゥーゴのクワトロ・バジーナ(シャア)と、ティターンズのパプテマス・シロッコ、アクシズのハマーン・カーンは「モビルスーツに乗り最前線で戦う」最高指導者として戦うことになったわけです。

 最高指導者が前線で撃墜されたら、組織が崩壊しかねません。実際、クワトロが行方不明になったエゥーゴは、宇宙巡洋艦アーガマを中心とする、ごく一部しか戦えなくなります。シロッコやハマーンの戦死は、組織を崩壊させました。

 このようなリスクがありつつも、ガンダムの偉い人たちが前線に出たがるのは、なぜでしょうか。筆者はふたつの要因があると考えています。

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