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『ガンダム』ザクIとザクIIって何が違うの? 地味にスゴい3つの進化ポイント

『機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツの原点であり、傑作機として名を残すジオン公国軍の主力量産機MS-06 ザクII。なぜ、ザクIIは後の時代にも語り継がれる傑作機となったのか? 原形となったMS-05 ザクIとは何が違うのか? 「ザク」シリーズの進化のポイントを解説します。

ザクIはなぜすぐに旧式化してしまったのか?

「ザクII」は、『機動戦士ガンダム』作中でも活躍が多く描かれたMSのひとつ。画像は「MG 1/100 MS-06F ザクII Ver.2.0 (機動戦士ガンダム)」(BANDAI SPIRITS)
「ザクII」は、『機動戦士ガンダム』作中でも活躍が多く描かれたMSのひとつ。画像は「MG 1/100 MS-06F ザクII Ver.2.0 (機動戦士ガンダム)」(BANDAI SPIRITS)

 モビルスーツの完成形の原点的存在であり、稀代の傑作機となったジオン軍の主力モビルスーツMS-06ザクII。なぜ、ザクIIはモビルスーツの中でも高い評価を得て、その前身であるMS-05ザクIはすぐに旧式化してしまったのでしょうか? ザクの誕生とその後の進化史を通じて、その傑作機たるゆえんを振り返っていきましょう。

 ジオン公国が地球連邦政府に対して、仕掛けた独立戦争。後に「一年戦争」と呼ばれ戦争を開戦するにむけて、艦隊規模を含めた大きな戦力差を埋めるためにジオン公国が新たに開発したのが人型機動兵器=モビルスーツ(以下、MS)です。ジオン公国軍では、開戦前から秘密裏にMSの試作実験機の開発を重ね、5番目でようやく満足のいく戦闘データを得ることができるMS-05 ザクIが完成。一年戦争開戦前に、MSとして初の制式量産がされることになりました。

 MSの特徴は、運用目的に応じて武装を変更することができ、宇宙戦闘機よりも高い汎用性と空間戦闘性能を持っていること。ザクIはこの用件はクリアしていたものの、実際に量産化し、部隊運用を始めるといくつかの問題が表面化します。

 特に問題となったのは、ジェネレーター(発電機)の出力でした。機体の動力を四肢に送る「動力パイプ」を装甲の内部に配置したことで、機体の容積率が下がってしまい、機体の限界値が低いことが判明します。そこで、内部フレームは共通ながらも動力パイプを機体の外側に配置し、一部の外装形状を変更。装甲内の容積率を増やすことでジェネレーターの大型化が可能となり、推進剤の容量を増やすという改良案が出されることになります。その結果誕生したのが、ザクIの発展型となり、MS史に大きな影響を与えるMS-06ザクIIです。

●基礎性能向上で主力機となったザクII

 ザクIの運用データをもとに、問題点を強化する形で再設計されたザクIIは、基本性能の向上に加えて、その後の運用目的の多用化に合わせたバリエーションを産み出す余裕のある設計が施され開発が進められることになります。また、ザクIで露呈した防御性能や武装を使わない攻撃性能のアップのために、肩部固定型のシールドやスパイクシールドも取り付けられ、より実戦的な装備へと変わっていった。

 ザクIIの試作型ともいえるA型を踏まえ、本格量産型となるC型が完成。C型は、独立戦争初期の重要作戦であるブリティッシュ作戦=コロニー落としを遂行することを前提としており、サイド制圧のための核弾頭を発射するバズーカを装備。そのため、外装には放射線防御用の装甲が使用されていました。C型はこの特殊装甲のための重量増が問題となり、外装はまったく同じである、もっともスタンダードな宇宙用のF型が誕生。その後の機体は、F型を中心に発展していきます。

 地球への侵攻作戦が行われるにあたって、宇宙用の装備を外し、重力下での運動性をアップした脚部やランドセルなどが取り付けられた「地上用」であるJ型が登場。地上用のバリエーション機はJ型をもとに発展していきます。こうした、状況に応じた仕様の変更が行えることが、ザクIIが傑作機となった最大のポイントだと言えるでしょう。

 ちなみに、一年戦争緒戦である「ルウム戦役」において、ザクIIは高い機動性と作戦運用に応じた武装の切り替えによって、大型艦砲に頼った地球連邦軍の宇宙艦隊を翻弄。人型だからこそ可能な急な推進方向を変える戦法と宇宙艦船の懐に飛び込んで近距離で艦橋部などを破壊する戦い方により、ジオン公国軍は地球連邦軍の大きな戦力差を覆して勝利へと導いた。この戦いでMSの有用性は実証され、地球連邦軍もMSの開発に本腰を入れることになりました。

【画像】局地仕様は漢のロマン! いろんな「ザク」を見る(5枚)

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