欲深過ぎ! 「お金好きなキャラ」6選 仲間を平気で裏切ることも…
金の亡者! でも独自の美学も
●『パタリロ』のパタリロ
『パタリロ』(著・魔夜峰央)の主人公パタリロ・ド・マリネール8世は、マリネラ王国の若き国王です。天才的な頭脳と超人的な身体能力を持っているにもかかわらず、他人をからかうのが大好きで、問題ばかり起こしています。
彼が治めるマリネラ王国は、ダイヤモンド産出国であるため小国ながら豊かです。しかし、『明日の大金より、目先の小銭』というが信条の彼は、イギリスの情報部MI6のジャック・バルバロッサ・バンコラン少佐からは、「守銭奴!ごうつくばり!金の亡者!」と言われてしまいます。それに対してパタリロは、「単に人より金銭感覚が発達しているだけ」と反論しますが、小銭へのこだわりは増すばかりでした。
基本的には、ハチャメチャ、ドタバタなパタリロですが、本当に困っている人のことは放っておきませんし、自分の命をかけて守ろうとするので、いろいろ面倒を起こすわりには憎まれてはいないようです。
そんなパタリロが詠んだ一句は、「初春や それにつけても 金のほしさよ」。そこに、「桜ちる それにつけても 金のほしさよ」、「手紙です それにつけても 金のほしさよ」と畳みかけるほど、お金好きなパタリロですが、なかなか思った通りにはお金儲けできません……。
●『忍たま乱太郎』の摂津のきり丸
『忍たま乱太郎』(原作・尼子騒兵衛)は忍術学園を舞台に、エリート忍者を目指す主人公・猪名寺乱太郎(いなでら・らんたろう)と個性的な仲間たちの日常を描いています。寮で乱太郎と同室なのが、「お金好き」な摂津(せっつ)のきり丸と実家が裕福な福富(ふくとみ)しんべヱです。
きり丸は、戦で両親も家も失った天涯孤独の少年で、アルバイトをして生活費などを稼いでいます。そのためアルバイトを優先しがちで勉強する時間が少なくなってしまい、実技はほかの生徒と差はないようですが、成績は芳しくないようです。
自称「天才アルバイター」で、自分のドケチぶりには誇りを持っています。「タダ」「安い」という言葉が大好きで、どんなに遠くても小銭の落ちる音は聞き逃しませんし、数km先に落ちている小銭も見逃しません。きり丸は、忍者学園の入学金も、いくつものアルバイトを掛け持ちして貯めた小銭で支払ったという根性のある「お金好き」です。
●『カイジ』シリーズの兵藤和尊
『賭博黙示録カイジ』(著・福本伸行)をはじめ、「カイジ」シリーズでは、多額の借金を背負った主人公の青年・伊藤開司(カイジ)が返済のために命を懸けた無茶なギャンブルに挑みます。命がけのギャンブルを主催するのが兵藤和尊(ひょうどうかずたか)率いる金融会社「帝愛グループ」でした。
兵藤は、人が苦しむ姿や、命を賭けたギャンブルに人々が翻弄される様を見ることに喜びを感じる残虐な性格で、カイジにとっては、憎い宿敵にほかなりません。お金の執着はすさまじく、莫大な資金を有しているにもかかわらず、それでも満足できない、いわゆる「金の亡者」です。「足らん」「もっともっと……欲しいんじゃ……!」と、常にお金に飢えている兵藤は、お金を持っているにもかかわらず不幸な「お金好き」と言えるでしょう。
帝愛グループの最高幹部のひとり、利根川とカイジが「Eカード」というギャンブルで勝負した際、兵藤はカイジの無謀な賭けを「命は…もっと 粗末に扱うべきなのだ……!」と称賛しました。「もっと思い切ったことをすべき」という、彼ならではのメッセージと思われます。
今回、紹介した「お金好き」キャラクターが、ただ単に「贅沢がしたい」というだけではなく、それぞれ独自の美学を持っていることがわかりました。「お金が好き」なことにどんな意味があるのか、注目してみるとキャラクターの新たな魅力を発見できるかもしれません。
(山田晃子)