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ソフト価値の任天堂VSハード価値のソニー、ゲームメーカー2強「真逆の戦略」

任天堂とソニーは、ゲーム業界のトップクラス同士。面白いソフトと多くの方に支持されるゲーム機、その双方を作り続けてきました。しかし、任天堂はソフトに、ソニーはゲーム機に重点を置くような施策を行っており、ある意味では真逆に近い姿勢なのかもしれません。

ともに成功、だが戦略が異なる任天堂とSIE

発売6年目に突入したNintendo Switchと、発売3年目のPlayStation5
発売6年目に突入したNintendo Switchと、発売3年目のPlayStation5

 国内における家庭用ゲーム機の歴史は1970年代に幕を開けましたが、任天堂が1983年に発売したファミリーコンピュータがきっかけで一大ブームが巻き起こりました。

 このファミコンと、後継機に当たるスーパーファミコンの躍進ぶりは凄まじく、同時期に登場したライバルたちを圧倒した結果、任天堂ハードによる黄金期が長く続きます。

 しかし、この流れを大きく変えたのが、当時のソニー・コンピュータエンタテインメント(現 ソニー・インタラクティブエンタテインメント、以下SIE)が放ったPlayStationです。本機の登場をきっかけに3Dゲームが発展を遂げ、その先駆者となったPlayStationと後継機のPlayStation 2が業界を席巻します。

 この2社以外にも家庭用ゲーム機をリリースした会社はいくつもありましたが、現在活躍している現行のゲーム機を扱っているのは、国内では任天堂(Nintendo Switch)とSIE(PlayStation 5/PlayStation 4)の2強状態です。

 両社の方針は異なっている点も多く、だからこそ切磋琢磨し合う相手として並び立っていられるのでしょう。今回は、その異なる方針のひとつ、「ゲームとハードに対する価値の置き方」から、任天堂とSIEの違いに迫ります。

●ゲーム機とソフト、いずれも重要なのは当然だが…

 どちらの会社も「ハード」──つまりゲーム機を開発・販売していますが、同時にゲームソフトの制作も行っています。両社のゲーム機は世界的に有名ですが、数百万本レベルの大ヒットソフトも多数生み出しており、ゲームソフトメーカーとしても高い知名度を誇ります。

 任天堂とSIEにとって、ゲーム機はもちろん、ソフトも重要な存在。面白いソフトがあるからこそゲーム機が売れますし、ゲーム機が普及すればそれだけユーザーの総数が増え、ソフトがより多く売れる可能性に繋がります。この相関関係があるため、ゲーム機とソフト、どちらも疎かにするわけにはいきません。

 いずれも手を抜かずに重要視しているという大前提を踏まえたうえでの話となりますが、どちらをより重く見ているのかと聞かれれば、「任天堂はソフト、SIEはハードの価値を高めている」と答えます。

●タイトル発表から発売まで…2社で異なる期間

 任天堂がソフトを、SIEがハードをより重視しているような姿勢は、どのような動きから分かるのか。まずは、新作発表から発売までのタイミングから迫りましょう。任天堂は、自社ソフトの発表から発売まで、あまり期間を空けない傾向にあります。

 例えば、『スプラトゥーン3』の発売日は2022年9月9日ですが、本作が初めて発表されたのは2021年2月。これほどの話題作でも、発表から発売までわずか約1年半の見込みです。また、人気RPGの最新作『ゼノブレイド3』は、発表から発売日まで半年という驚異的なスピードで発売されます。

 一方SIEの場合、発表から発売までの期間は一般的なソフトメーカーと大きく変わらず、それなりの間隔を設ける場合がほとんどです。話題になるソフトが発表されれば、その発売に向けてゲーム機の購入を検討するユーザーも出てきます。しかし安い買い物ではないため、費用の捻出にはある程度の期間がかかりがち。そのため、気になるソフトの発売日までにゲーム機の購入が間に合うよう、ある程度の期間を意図して設けるのも戦略のひとつです。

 しかし、発売まで間が空きすぎると、熱が冷めてプレイしなくなる可能性が増えていくのも事実。任天堂の短期間な方針は、その熱を逃さずソフトの購入に繋げる狙いがあるように思われます。ただし、延期などの都合で結果的に発売まで時間がかかる場合もあり、そこは歯がゆいところかもしれません。

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