鉄壁のアニメ『サザエさん』に挑んだ裏番組たち 日テレは果敢に攻めたが…
半世紀以上も高視聴率を維持し続ける国民的人気アニメ『サザエさん』。実はそれ以前に放送されていたアニメも世に知られた名作ばかりでした。そして、それに挑んだ子供向け番組もみな名作だったのです。
フジが視聴率獲得に固執していた、「日曜18時30分」の枠

国民的人気アニメと言われている『サザエさん』。誰もが知っているアニメだと思いますが、その前番組や裏番組のことをおぼえている人はあまりいないと思います。
『サザエさん』が放送開始したのは1969年10月5日。今から53年前、半世紀以上前から放送していることになります。そのため、世界で最も長く放映されているTVアニメ番組として、ギネス世界記録を保持しています。放送時間も日曜18時30分枠から一度も移動したことがなく、同一放送時間で続いている番組としては最長だそうです。ただし、スペシャル版の時は時間が前後することもありました。
つまり長らく日曜の夕方は『サザエさん』という感覚があり、一部の人には『サザエさん』が始まると休みの日も終わりで、明日から仕事あるいは学校だと自覚してゆううつな気分になる……と聞いたことがあります。
もともとフジ系列の日曜18時30分枠はアニメの時間でした。その最初の作品が『リボンの騎士』。1967年4月2日から6月25日まで放送された手塚治虫先生原作の人気マンガのアニメ化です。近年に舞台化されるなど、いまだに変わらぬ人気で知名度の高い作品でした。この放送枠で1話から13話まで放送した後、14話以降は日曜18時枠に移動します。
その次が『マッハGoGoGo』。もともとは日曜19時枠でしたが、1967年7月2日から1968年3月31日まで、14話から最終回をこの枠で放送しました。国内での人気もさることながら、海外ではさらに高い支持を得て、リメイクまでされた人気作です。
さらに1968年4月7日から1969年3月30日まで放送されたのが、水曜18時15分枠から移動してきた『ゲゲゲの鬼太郎』(第1作)でした。14話から最終回まで放送しています。この作品も、説明不要と言えるほどの人気作でした。
そして、『サザエさん』の前番組になるのが、1969年4月6日から9月28日まで放送されていた『忍風カムイ外伝』です。本来は1年の予定でしたが作風が暗かったことで視聴率が伸び悩み、急きょ、時間枠が決まらなかった『サザエさん』が放送されることになりました。
実は本来なら『忍風カムイ外伝』の後番組は、同じ白土三平先生の忍者マンガ『ワタリ』が企画されていて、パイロットフィルムも作られていたそうです。もしも、この時に少しでも運命が変わっていれば、『サザエさん』は別の時間枠で放送されていたことでしょう。
この流れを見ると仮説になりますが、フジが子供をターゲットに、この時間枠で高い視聴率を取ることに固執していたように思えます。そのため、人気アニメをこの時間に集中させていたような戦略に見えませんか? 結果的にフジの戦略は当たり、日曜18時30分はフジの鉄板枠となりました。しかし、当然、他局もさまざまな子供向け番組を『サザエさん』にぶつけてきたわけです。
以降は他の地区にお住まいの方には申し訳ありませんが、関東地区での裏番組について記述させてください。