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鉄壁のアニメ『サザエさん』に挑んだ裏番組たち 日テレは果敢に攻めたが…

王者『サザエさん』に挑んだ裏番組たちも「名作ぞろい」

日テレが最初に『サザエさん』の裏に放送した子供向け番組、 「ファイヤーマン VOL.1」DVD(東映)
日テレが最初に『サザエさん』の裏に放送した子供向け番組、 「ファイヤーマン VOL.1」DVD(東映)

 子供向け番組で『サザエさん』に最初の刺客がやって来たのは1971年のことでした。放送2年目で、今ではおなじみとなったオープニングの最後でサザエ、カツオ、ワカメ、タマが果物や野菜のなかから登場するシーンが初めて使用されたころだったそうです。

 その一番手が、奇しくもフジでのアニメ枠最初の作品だった『リボンの騎士』を手がけた手塚先生が同じく原作を担当した『ふしぎなメルモ』でした。TBSで1971年10月3日から1972年3月26日まで放送されています。作品的には再放送も多く、声優陣を一新したリニューアル版も作られたこともあり、後年にも広く知られた作品となりました。

 そして、日本テレビ系列が『サザエさん』にぶつけてきた作品が、特撮ヒーロー番組『ファイヤーマン』。円谷プロ創立10周年記念番組として鳴り物入りで始まりましたが、視聴率で苦戦したために1973年1月7日から3月25日という短い期間だけで、以降は火曜日19時に移動しました。

 この日本テレビが、もっとも『サザエさん』に子供向け番組をぶつけてきたTV局だったのです。もともと日本テレビのこの時間枠は人気バラエティ『シャボン玉ホリデー』が1961年6月4日から1972年10月1日まで放送され、高い視聴率を維持してきました。それが理由かはわかりませんが、『サザエさん』に対抗してさまざまな子供向け番組が裏番組として放送されています。

 まずは1976年10月3日から放送された『円盤戦争バンキッド』、続いて『小さなスーパーマン ガンバロン』という特撮ヒーロー番組が続きました。その次からアニメ枠となり、『家なき子』、『宝島』と、ジャンルの違う作品に切り替わっていきます。

 どの作品も見た人の心に残る作品でしたが、それでも『サザエさん』の牙城は崩せません。ここで日本テレビも子供向け番組を『サザエさん』にぶつけることをあきらめ、1979年4月8日から『独占!スポーツ情報』というスポーツニュース番組にシフトして、これが2000年9月24日まで続きました。

 それではこれ以降、アニメ作品が『サザエさん』の裏番組にならなかったかというと、そうではありません。アニメ作品にもっとも力を入れているのではないかと思われるテレビ東京系列が、1995年4月2日から9月24日まで、人気OVA(オリジナルビデオ)作品だった『天地無用!』のTVシリーズを放送しています。もっともTVシリーズ第2期は別の時間枠になりました。

 そして、このテレビ東京の放送枠にふたたびアニメが戻ってきたのは2001年7月1日から10月7日に放映された海外アニメ『ウッディー・ウッドペッカー』。その後、2001年10月14日から2002年10月13日まで放映されたアニメ第3作にあたる『サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER』になります。

 こういった形で裏番組を並べると、どれも当時の子供たちには聞いたことのある作品ばかりに思えませんか? けっして面白くなかったわけでなく、後に語り継がれるような名作だったと思います。

 こういった作品が裏にやって来ても、半世紀以上崩せない鉄壁のアニメ番組『サザエさん』。おそらく今のTV放送の形態が変わらない限り、この天下は揺るがないかもしれません。

(加々美利治)

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