『シン』を見た「ウルトラマン初心者」に次勧めるならどれ?割れたファンの意見
短く完結している劇場版の名作

それでは一本で完結する劇場版はどうでしょうか? 最長でも2時間程度で観れますので、ハードルはTVシリーズよりは低いと思います。当然、そのように思う方は他にも多く、初心者に映画を勧める人は少なくありません。
そんな中、多くの人が勧めた作品が『ULTRAMAN』(2004年)です。この作品には『シン』と共通点があることも勧める理由のひとつでした。
まず、この作品は『シン』と同じく『ウルトラマン』を原典にした作品です。しかも『シン』では大幅にカットされた第1話「ウルトラ作戦第一号」をベースにしていました。本作に登場する敵「ビースト・ザ・ワン」は、『ウルトラマン』第1話に登場した怪獣「ベムラー」がベースになっています。
もう一点が、この映画が子供向けでなく全年齢対象作品ということ。それゆえに大人が見ても子供向けと思わない硬質な作りになっています。また、ウルトラマンに変身する主人公が子供を持った父親という点も、子供よりも一定の年齢になった大人に響くものがあるかもしれません。
この他、ウルトラシリーズで初めて本格的なCGを使って空中戦を描いています。防衛庁の全面協力を受け、F-15の離陸シーンなどは特撮でなく実写映像を使うなど、全体的にかなり気合の入った作品作りになっていました。
最後に筆者がウルトラ初心者におススメしたい作品が『ウルトラマンサーガ』(2012年)です。
子供向けでシンプル。ストーリーの起承転結がハッキリしている。時折インサートさせる「笑い」と、絶望と感動の両方での「泣き」、そしてラストでの感動的な「大団円」というところが映画として完成度が高いと思います。
この他にも役者陣が一般的に知名度が高いこともハードルを低くしていました。ウルトラマンに変身する3人がDAIGOさん、つるの剛士さん、杉浦太陽さんというバラエティ番組などでおなじみの顔ぶれ。本作に登場するウルトラシリーズ初の全員女性隊員の防衛チームであるチームUのメンバーを演じるのがすべてAKB48。最大の敵役であるバット星人の声が元宮崎県知事の東国原英夫さんという、いずれも知名度の高い顔ぶれでした。
以上が『シン』でウルトラシリーズに興味を持った人におススメしたい作品になります。もちろん本人が見たいと興味を持った作品が一番だと思いますが、みなさんならどんなウルトラ作品を初心者に勧めようと思いますか?
(加々美利治)