【漫画】昔話のおじいさん、物語が始まらず「自分は何者?」 結末に「いい話」「深い!」
昔話に出てくる「おじいさん」は、自分がどの物語に出てくるおじいさんなのか分かりません。いくら待っても何も起こらず、「自分は何者なんだろう」と悩むおじいさん。そして物語は意外な展開に……。透明いんげんさんが「存在論」をテーマに描いたマンガが反響を集めています。
昔話の登場人物のはずなのに、何も起こらず「ワシは一体?」
「昔むかしあるところに、おじいさんとおばあさんが……」で始まる、おなじみの昔話に出てくる「おじいさん」。彼は自分がどの物語に出てくるおじいさんなのか分かりません。おばあさんは川に洗濯には行かず、スズメの舌も切りません。いくら待っても何も起こらないのです。「自分は何者なんだろう」と悩むおじいさん。そして物語は意外な展開に……。
透明いんげんさん(@invisible_bean)による創作マンガ『オントロジぃさん』がTwitterで公開されました。オントロジー(存在論)と昔話を融合させた異色の4コママンガ集。物語の登場人物であるおじいさんが、物語について、自分について俯瞰的に見ているという新しい切り口の作品です。
読者からは「素敵なお話」「面白かった」「深い」「笑えるのとメッセージ性があるのとで胸がいっぱい」「おじいさんは解放されたんだね」「最後に始まるのがいい」「何度も読み返したい」などの声があがりました。Twitter投稿は4万いいねを超える話題作となっています。
作者の透明いんげんさんに、お話を聞きました。
ーー『オントロジぃさん』のお話を描こうと思ったきっかけを教えて下さい。
まず昔話をベースに何か描こうと思った時に、昔話特有のテンプレートや予定調和をメタ視点から認知している主人公がいたら面白いなぁと思ったのがきっかけです。
いつも描き始める前に下調べをするタイプではありますが、存在論については恥ずかしながら勉強不足なので食い違いがあるのでは、と心配な部分が多々ありました。いざ公開してみたら想像以上に皆さんに楽しんでもらえたので、内心ホッとした次第です。
ーー昔話ベースで存在論という哲学的なものを取り入れてマンガを描くのは難しそうですが、このマンガを描くうえで工夫なさった点、気をつけた点などはありますか?
元々皆さんに笑ってほしくてマンガを描いていますので、あまり堅くなりすぎないように、シリアスとギャグのバランスには気を使いました。
それから、見た目のイメージではなく各々の特性を見てほしいと思ったので、締めの「昔むかしあるところに……」のあとを「おじいさんと鬼」にしなかったのですが、意図に気付いて下さる読者の方もいらっしゃったのはうれしかったですね。
あと、この物語ではおばあさんは脇役だけれども、映っていないだけで彼女にも自分自身の物語があるのだ、というのも伝わればいいなと思ったり……。あまり肩肘張って披露するような話じゃなくてすみません(笑)。
ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
「このマンガを読めてよかった」「描いてくれてありがとう」などの感想をいただきました。自分の作品が何か気持ちを動かすきっかけになったのだとしたら本当に光栄なことですし、作者としてはむしろ読んでくれてありがとう!!! のひと言につきます。普段はギャグばかり描いているので、面白かった、笑った! のお声も多くいただけてひと安心でした。
ーー今後、挑戦してみたいことについて教えて下さい。
現在ごく普通の会社員をしながら隙間時間に少しずつ絵を描く日々ですが、まさにこれからの自分の活動について考えながら作ったのが『オントロジぃさん』でした。
今後は4コマだけではなく、イラストやエッセイマンガ、絵本などなど、チャレンジしたいことが盛りだくさんなので、もっと本格的に活動の幅とペースを増やしていきたい! とたくらんでおります。もしご興味ある方は見守っていただければと思いますので、これからもよろしくお願いします!
(マグミクス編集部)