『超時空要塞マクロス』最終回から40年 過酷な現場の「悔しさ」が後に歴史的名作を生む
1983年6月26日は『超時空要塞マクロス』の最終回「やさしさサヨナラ」が放送された日です。放送期間の延長やスタッフの疲弊などさまざまな問題に翻弄されながらも、ロボットアニメに恋愛軸を持ち込んだ先駆者として、見事な最終回を迎えました。
一条輝「きみには歌があるじゃないか」 ミンメイとの別れ
1983年6月26日、TVアニメ『超時空要塞マクロス』の最終回「やさしさサヨナラ」が放送されました。敵対する異星人であるゼントラーディ軍との戦いで、地球は厳しい状況に陥っていました。地球人は、ゼントラーディ軍・ボドル基幹艦隊による軌道爆撃より、わずか100万人にまで打ち減らされていたのです。戦艦「マクロス」はゼントラーディ軍を離反したブリタイ艦隊と共にボドル基幹艦隊の司令長官・ボドルザーを倒してかろうじて生き残り、生き残った地球人と帰順した800万人のゼントラーディ人は共に地球の復興を開始します。
それから2年。地球に着陸したマクロスを中心に市街地が形成され、焼き尽くされた自然の再生計画も推進されていましたが、市民生活に不満を抱くゼントラーディ人がひんぱんに騒ぎを起こすなど、世界に再び不穏な火種がくすぶり始めていました。
一方、主人公の一条輝は上官の早瀬未沙とリン・ミンメイのふたりの間で揺れ動いていました。 すれ違いを繰り返しながらも3人の運命はもつれあい、そして決着の時を迎えようとしていたのです。
最終話、ミンメイと共にクリスマスの夜を過ごした輝は、軍人を止めて欲しいと懇願され思い悩みます。その頃、輝との関係に悩む未沙も退役を考えグローバル総司令に悩みを吐露しますが、総司令は地球人の生存を賭けた宇宙移民計画について語り、未沙に宇宙移民船の一番艦の艦長になってもらいたいと要請しました。
艦長になると決意した未沙は輝の元を尋ね、本当の気持ちを告白し、そのまま別れを告げて立ち去ります。後を追いかけようと輝の前にミンメイが立ちふさがり行かせまいとしますが、突然上空からミサイルが舞い降り、未沙を巻き込んでしまうのです。かつて輝と死闘を繰り広げたカムジンの仕業でした。
カムジンは現状に不満を持つゼントラーディ人やメルトランディ人を集めて軍艦を修理し、復興の象徴たるマクロスの撃破を目論んでいました。攻撃の巻き添えになった未沙を輝が助け出したところにミンメイも現れ、押し問答が始まります。しかし輝の気持ちはこのときすでに決まっており、ミンメイに「きみには歌があるじゃないか」と語り掛け、泣いてすがりつくミンメイに別れを告げるのです。