【漫画】借金ばかりのダメ人間に死神が死の宣告 「最低だけど最良」伏線回収が見事!
借金ばかりしてお先まっさらなアツキの元へ、白い死神・沙汰が「死の宣告」をしに来ました。沙汰は仕事のために思い残しがないかアツキへ問います。しかし、アツキは「特にないよ」と言い出して……。作者のうの花みゆきさんにお話を聞きました。
ダメ人間の思い残しとは?

人にお金を借りては酒を飲んでしまうダメ人間・アツキのもとへひとりの死神がやってきます。死神・沙汰は現世に思い残しがないように「死の宣告」を告げますが、ろくな人生を送っていなかったアツキは、やり残したことは特にないと言い出して……。
うの花みゆきさん(@18____th)による創作マンガ『地獄の沙汰も月次第』がTwitter上で公開されました。本作は、借金ばかりの女性が「死の宣告」を受けることで交わる、ふたりの運命が切なくも美しく描かれています。読者からは「見事な伏線回収だった」「尊い」「最低だけど最良な話」という声があがり、10.4万ものいいねがついた話題作です。
作者のうの花みゆきさんにお話を聞きました。
ーー『地獄の沙汰も月次第』のお話が生まれたきっかけは何ですか?
前作の短編『雪と墨』をたくさんの人に読んでもらえたとき、作家人生一度くらいはバズってみたいなと思っていたのが達成されて「私もう死んでもいいな……」と思ったんですが、これ二葉亭四迷の「愛してる」の言い換えと同じだなとなって、愛してるの言い換えと言えば「月がきれいですね」だなとなって。あれよあれよとこのふたつをテーマに月にまつわる男女の話を描くか、となりました。
ーー美しすぎる死神が特に印象に残りました。死神の衣装や装飾にこだわりはありましたか?
浮世離れしていて、死を感じさせるモチーフで、酔いつぶれた夜にふっと現れたらきれいだと感じる見た目になるように、とは意識しました。沙汰に関しては佳境のシーンにそぐうように黒ではなく白い見た目にしてあります。アツキにとっては死神というより……といった感じに。あと野暮ったい形の、目の表情が見えづらいメガネは印象に残ったんじゃないでしょうか。なんでこんなメガネなんだろう? ってちょっとした引っ掛かりを感じてもらえたら成功ですね。

ーーもし、「死の宣告」を受けてしまったら、うの花みゆきさんがやりたい「思い残し」はありますか?
「私もう死んでもいいな……」なので、大きい思い残しはなにもないですね! 見つかったらまずい本などを1日がかりで片づけていたら、うっかり棚が倒れてきて死を迎えるかもしれません。
ーーたくさんの感想が寄せられていますが、特にうれしかった感想の声、印象に残った読者の声について、教えて下さい。
登場人物を好きと言ってもらえたのはダイレクトにうれしかったです。今回のふたりは短所が顕著というか、まあ端的にいってちょっとしょうがない人たちなので、読者にどう取られるか未知だったのですが、案外好きになってもらえたのがうれしかったです。現実世界でも、人のしょうがないところに愛嬌を覚えるほうなので、読み手の方からもなんかかわいいと思ってもらえたらうれしいです。あと「金は返せ」とそこそこに言われていたことに笑いました。沙汰がしっかりしているのでちょっとずつ返させたと思います。
ーーさまざまな場所で精力的にマンガを公開なさっています。創作するうえでの原動力になるものはありますか?
創作って筋トレみたいなもので、やればやるほど確定で未来にいいものができあがるし、やらないと衰えるし、一時的なパッションというよりはルーチンみたいになっているんだと思います。エンジンかけるみたいな原動力は思い付かないですけど、日常をずっと続けていこうという心持ちがミソです。そして月並みですがやっぱりたくさん読んでもらえるとうれしいので、次はこうしてやろうとかたくさん考えちゃいますね。作者と読者でラリーしましょう! 今後もよろしくお願いいたします!
●うの花みゆきさん 過去のインタビュー
(マグミクス編集部)