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映画『バズ・ライトイヤー』の楽しみどころは「ウラシマ効果」 異なる価値観には戸惑いも

人気アニメ「トイ・ストーリー」シリーズの最新作『バズ・ライトイヤー』の劇場公開が、日本でも始まりました。今回は子供部屋が舞台ではなく、壮大な宇宙で「スペースレンジャー」のバズが大活躍することになります。「ウラシマ効果」をモチーフにした本格的SFドラマとなっている『バズ・ライトイヤー』の見どころを紹介します。

トイ・ストーリー」シリーズの最新作

スペースレンジャーのバズ・ライトイヤー(右)。映画『バズ・ライトイヤー』より
スペースレンジャーのバズ・ライトイヤー(右)。映画『バズ・ライトイヤー』より

「無限の彼方に!」

 そんな決めゼリフで知られているのは、3DCGアニメ「トイ・ストーリー」シリーズの人気キャラクターであるバズ・ライトイヤーです。

 シリーズ第1作『トイ・ストーリー』(1995年)に登場して以来、カウボーイ人形・ウッディとバズとの固い友情、バズの勇敢さと憎めないずっこけぶりは、ファンを大いに楽しませてくれました。

 ウッディの旅立ちを描いた『トイ・ストーリー4』(2019年)を観て、寂しさを覚えた人も少なくないと思いますが、シリーズ最新作となる『バズ・ライトイヤー』が2022年7月1日より日本でも劇場公開されています。

「ウラシマ効果」を扱った作品は感動作ぞろい

 本作は「トイ・ストーリー」シリーズの前日談にあたる、スピンオフ作品です。バズがオモチャ化されるきっかけとなった、1本のSF映画『バズ・ライトイヤー』が描かれています。つまり、アンディ少年は、このSF映画を観て感動し、バズのフィギュアが欲しくなったというわけです。

 オモチャのバズのモデルとなったのが、本作の主人公となる「スペースレンジャー」のバズ・ライトイヤーです。バズは有能で、責任感の強い「スペースレンジャー」ですが、自分の力を過信しすぎたために、1200人ものクルーを載せた母船を未知の惑星に不時着させてしまいます。

 同僚である女性レンジャーのアリーシャが見守るなか、バズは小型ロケットに搭乗し、危険なハイパー航行に挑みます。このハイパー航行に成功すれば、母船を地球に戻すことも可能です。

 わずか4分程度のハイパー航行の実験でしたが、この実験を何度も繰り返すバズは、惑星に残って待っているクルーたちとの間に、「ウラシマ効果」と呼ばれる現象が生じることになるのです。

 光速に近いスピードで運動していると時間の進み方が遅くなることを、SF用語では「ウラシマ効果」と呼ばれています。クリストファー・ノーラン監督の実写映画『インターステラー』(2014年)は、この「ウラシマ効果」をモチーフにした父と娘の感動ドラマとなっていました。

 日本でも、有名な SFアニメが早くから製作されています。庵野秀明監督の監督デビュー作となった、『トップをねらえ!』(1988年~89年)です。オリジナルビデオアニメとして低予算で製作された『トップをねらえ!』でしたが、序盤はスポ根アニメのパロディとして笑わせつつ、中盤以降はシリアスモードに。さらに「ウラシマ効果」によって、主人公のノリコとカズミは思いがけないラストシーンに遭遇することになります。

 新海誠監督の劇場デビュー作『ほしのこえ』(2002年)では、遠い宇宙へと旅立ったヒロインと地球に残った少年とがメールでやりとりする際に生じるラグタイムが重要な意味を持つことになります。「時間」をモチーフにしたSF作品には、泣けるものが多いことが分かります。

【画像】傑作がそろってる? 「ウラシマ効果」を扱ったSF作品たち(10枚)

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