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劇場版『イデオン』40周年 救いがない悲劇的アニメの「今ならありえない」イベントとは?

富野監督の製作した名作アニメ『伝説巨神イデオン』。その劇場版を盛り上げようと、ひとつのイベントが企画されました。「明るいイデオン」。今ならありえないイベントについて振り返ってみましょう。

『イデオン』に立ちふさがった意外な障害とは?

『伝説巨神イデオン』 (C)サンライズ
『伝説巨神イデオン』 (C)サンライズ

 7月10日は、1982年にTVアニメ『伝説巨神イデオン』の劇場版である『THE IDEON 接触篇』と『THE IDEON 発動篇』が公開された日。2022年は40周年となります。富野喜幸監督の最高傑作と位置付ける人もいる本作について振り返ってみましょう。

 TV版『イデオン』は、アニメファンから「傑作」と思われながらも打ち切られてしまった名作『機動戦士ガンダム』の次に富野監督が制作した作品です。当時のアニメファンの期待度は高く、各アニメ雑誌も毎号、誌面を割いていました。

 しかし『ガンダム』以上に重くて暗く、救いのないシリアスな展開は万人向けとは言いづらく、期待された「ポストガンダム」と呼べるほどの支持は集められなかったのです。作品的な人気は高かったのですが、アニメファンには『ガンダム』の方が好きという人も多くいました。さらに『ガンダム』の劇場版が決まると、やはり『ガンダム』だという風潮が加速します。

 このように『イデオン』の最大の壁は、同門である『ガンダム』という皮肉な事態になりました。そして、スポンサーの販売したオモチャの売り上げが伸びなかったことから、皮肉にも『イデオン』もまた打ち切りということになります。奇しくも『ガンダム』と同じ1月末の終了でした。

 しかし『ガンダム』がそうであったように、『イデオン』も劇場版で観たいという熱心な声がファンからあがります。それは『ガンダム』と違って、TV版『イデオン』の最終回があまりに唐突に見えたこと。そして、最終回以降の作画が進んでいたことがアニメ雑誌で明らかになったことが理由で、それらがファンの期待に火をつける要因になりました。

『ガンダム』という前例があり、その『ガンダム』の三部作終了後に劇場版が見られるという期待もあって、劇場版『イデオン』への注目はアニメファンの間では高まっていきます。しかし、スタッフのなかには一抹の不安もありました。それは『ガンダム』ほど一般層の熱気を感じられなかったことです。

 そこで劇場版『イデオン』は、劇場版『ガンダム』と同様に複数に分けての公開を検討されながらも、興行不振で最終作を制作できない事態になる恐れを考慮して、TV版の総集編である『THE IDEON 接触篇』と、TV版最終回以降がメインとなる新作映画『THE IDEON 発動篇』の2本同時上映という形をとることになりました。2本合わせて3時間以上にも及ぶ上映は異例のことだったのです。

 しかし、これでもなお製作サイドは、『ガンダム』と比べて盛り上がっていないことを不安視していました。そこで前代未聞のイベントで、一般層も巻き込んだ盛り上がりを計ります。それが伝説の一大イベント「明るいイデオン」でした。

【画像】カッコいい!「イデオン」の姿(7枚)

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