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「約束された神ゲー」はホントだった! 2023年ゲーム賞総なめ『バルダーズ・ゲート3』はファンタジーファン&コアゲーマーを唸らせる超大作RPG【プレイレポ&座談会】[PR]

シリーズ初心者でも大満足! 「ファンタジーファン」プレイレポ

 日本語版発売に先駆け、高い自由度と魅力的なキャラクターたち、練りこまれた世界観で海外ゲーマーからすでに高評価を得ている『バルダーズ・ゲート3』。『ゲド戦記』や『指輪物語』をきっかけにファンタジー系作品をフォローし続けてきたファンタジーファンの視点からプレイレビューをお届けします。

 結論を先に言うと、異世界ファンタジーやJRPGが好きな人にもぜひ遊んでほしい傑作でした。

王道かつ斬新! ファンタジーファンから見た本作のストーリー

広大なマップには無数のイベントが! 驚異に満ちた旅に出発しよう

 ファンタジー系作品で欠かせない要素といえば何を思い浮かべるでしょうか? 「フリーレン」(『葬送のフリーレン』)のような長命で美しいエルフの少女、「ハイタカ」(『ゲド戦記』)のような魔法使いの賢者、『ドラゴンクエスト』のような選ばれし勇者、「冥王サウロン」(『指輪物語』)のような強大な魔王など、さまざまなイメージがあるはずです。

 しかしそれら全てをつなぎ合わせるのは「冒険」です。冒険あってこそファンタジーだと言えるでしょう。

 本作では「イリシッド」というイカの化け物のような種族の飛行船「ノーチロイド」に捕らわれた主人公が、脳内に幼生を埋め込まれるシーンから物語は始まります。ドラゴンやデヴィルに攻撃されて墜落していく船から命からがら脱出した主人公は、同じく脳内に幼生を埋め込まれた仲間たちと協力し、除去方法を求めて広大な世界「フォーゴトン・レルム」を冒険します。

イリシッドは集合意識を持つ種族でマインド・フレイヤーと呼ばれている。彼らの飛行船「ノーチロイド」から脱出するのが最初の試練だ

 種族も信条も異なる仲間たちと旅を始めるのに、これほどまでに強力な動機づけはないでしょう。TRPGの王道キャンペーンである「監獄スタート」をより切実にした変奏曲です。王道でありながら斬新で、一気に物語に引き込まれます。

多種多様な種族が登場! 壮大なファンタジー世界観

物語の舞台は多元宇宙のひとつフォーゴトン・レルム。数多くの人型種族とモンスターが闊歩する活力あふれる世界だ

 フォーゴトン・レルムには豊かな自然と多種多様な人型種族、危険なモンスターが多数闊歩しています。野蛮なゴブリンの群れがエメラルドの森に住む角のある種族「ティーフリング」を滅ぼそうとしていたり、妖婆が川岸のティーハウスに人を誑(たぶら)かして誘拐していたり、盗賊が墓荒らしをしていたりと良い感じに無法地帯です。

ハーフリングのドルイド。フォーゴトン・レルムには肌の色だけでなく身長などが全く異なる種族が登場する

『オーバーロード』や『転生したらスライムだった件』などのファンタジー作品と同様に、統治権力による治安維持がなされているのは、大都市周辺に限られているのです。このあたりは深い森に分断されていた中世のヨーロッパを連想しますね。そして統治の手が及ばない「なんでもアリ」な辺境世界こそ、腕自慢の冒険者が自由に活躍できる最高の舞台だと言えます。

見晴らしの良い崖から地形を確認。他にも沼地や森林、海岸など変化に富んだ地形が冒険者を待ち受けている

 脳内の幼生を無力化、あるいは除去するという大目的に合致すると考えるなら、プレイヤーはゴブリンに味方して平和なエメラルドの森を滅ぼしてもいいですし、盗賊を襲撃してお宝を独り占めにしてもいいのです。

自由度の高い戦闘に興奮! 気分は『ゴブリンスレイヤー』?

プレイヤーキャラは自分の憧れを詰め込んだ赤髪の中年蛮族を作成。野蛮人なので交渉は全て「威圧」で押し通す

 プレイするにあたって、筆者は赤髪で屈強な中年バーバリアンのカスタムキャラクターを作りました。カスタムキャラクターはキャラクタークリエイト機能で好きな見た目にできるのです。

 具体的なイメージは、どれも往年の作品からになりますが、アーノルド・シュワルツェネッガーが演じた『コナン・ザ・グレート』や『キング・オブ・デストロイヤー』の蛮人コナンと『ロードス島伝説』の赤髪の傭兵ベルド。体格や表情には、米俳優ドウェイン・ジョンソンも含まれています。複雑な理屈を解さない辺境世界出身の蛮人として、両手斧や大剣を振り回して暴れ回りたかったのです。

 またプレイヤーキャラクターと同時に「守護者」も作れます。守護者とプレイヤーの関係性は、プレイを始めたばかりのときは全くの謎です。しかし物語が進むにつれて脳内の幼生と世界の運命に関わる大きな秘密があることが判明します。ロマンス要素もあるとのことですから、主人公の理想のパートナーとしてクリエイトするのもアリでしょう。

 ちなみに筆者は賢くて理性的な女性騎士のイメージにしました。深く物を考えない蛮族をロールプレイするのでセットでバランスを取る形です。

プレイヤーの次に守護者を作成する。守護者とはいったい何者なのか?

 プレイヤーが気になるポイントとしては、やはり「戦闘」でしょう。『バルダーズ・ゲート3』の戦闘は、自由度が高く、さまざまな搦(から)め手が使えます。蛮人だからといって叫びながら剣を振り回すだけではありません。

 たとえば、圧倒的に強い敵を崖におびき寄せて、突き落として即死させたり、高所から油を撒いて火をつけたりと戦いの幅が広いです。野蛮人だけど「戦いに関しては機転が利く戦士」プレイが楽しめました。

分身したり姿を消したりする難敵の妖婆「エセルおばさん」。正面から戦っても勝ち目がないので崖から突き落として勝利した(非情)

 ファンタジー作品でおなじみの敵性種族といえばゴブリンです。いわゆるザコ敵の扱いですが、本作に登場するゴブリンは、『ゴブリンスレイヤー』に登場するゴブリンと極めて近いのが特徴です。知性が低く、モラルの欠片もなく、コミュニケーションがとれる人型生物をバーベキューにして食べるほど残虐です。単体では弱いのですが、数が多いので他種族にとって脅威になる点も似ています。

 そんなゴブリンの野営地を攻める際『ゴブリンスレイヤー』が理想的なお手本になります。数の不利を補うため、知恵を絞って徹底的に容赦なく、あらゆる手段で殲滅しました。

知恵を使えばたった4人のパーティでも、城にこもった50体近くのゴブリンを殲滅できる

 無数の罠を仕掛けて待ち受けている魔法使いを殺すため、ホテルごと爆破した『Fate/Zero』の衛宮切嗣のように、発想を転換することで不利な状況を打破できます。多数の護衛に守られたゴブリンの神官を「ここではこれ以上話せない」と騙して密室に誘導し、背後から一刀両断したときは暗殺者の喜びがありました。勝つためにどんな汚い手段でも許容する、そういう騎士の誇りと無縁のロールプレイも可能です。

 魔法の使い方も独特で、敵のHPを減らす単純な攻撃魔法よりも、姿を消したり相手の行動を制限したりと、味方のサポートや敵を状態異常させたりするのに使うほうが強力だと感じました。

 本作の戦闘バランスは、ボス戦だけでなく、通常の戦闘もなかなか歯応えがあります。『ゴブリンスレイヤー』に登場する初心者パーティのように、敵を侮って迂闊に突っ込むと袋叩きに合うでしょう。最初は前日譚『ゴブリンスレイヤー外伝 イヤーワン』のように痛い目にあいながら遊ぶことになるでしょう。でもセーブ&ロードが早いのでやり直しがストレスになりません。

屈強なオーガと正面から戦う必要はない。高所から油をまいて火を付けてしまおう

 またファンタジーファンにとっては、アクションファンタジー映画の傑作として2023年に国内公開された『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』の世界観がそのまま遊べるのも嬉しいポイントでしょう。

 劇中に登場した「ドリック」のようなティーフリングが登場したり、フクロウと熊をかけ合わせた魔獣「アウルベア」が暴れ回ったりするので、プレイと合わせて視聴すると面白さが倍増するでしょう。

エメラルドの森に住むティーフリング。いかにも邪悪そうに見えるがヒューマンの敵対種族というわけではない。

ヒロインも魅力的! 黒髪邪気眼ハーフエルフに萌える

プレイヤーが序盤に出会うシャドウハートは、女神シャーのプリーストで記憶を消して秘密の任務を遂行している

『バルダーズ・ゲート3』のキャラデザは、洋ゲーライクなのでぱっと見て「可愛くない」というイメージを持つ人が多いかもしれません。特に日本のファンタジーアニメやファンタジーマンガのファンからすると、写実的過ぎて見慣れない表現だと思います。

 実際に『バルダーズ・ゲート3』に初めて登場する女性キャラはトカゲ人間のようなギスヤンキの女戦士「レイゼル」です。彼女に萌えるのはなかなかハードルが高いかもしれません。

レイゼルの種族はイリシッドと敵対関係にあるため知識が豊富。脳内の幼生を放っておくとどうなるか、その恐るべき結末について詳しく教えてくれる

 しかし黒髪のハーフエルフ「シャドウハート」はかなり萌えるキャラクター造形です。彼女は邪悪な種族「イリシッド」の船から脱出するときに合流したプリーストで、闇と喪失の女神シャーを信奉しています。秘密主義なのでノーチロイドから脱出するときに手に入れた謎の遺物の正体について話してくれなかったり、突然腕を押さえて謎の痛みに苦しんだりするイベントが発生します。

 これはまるで「くそっ、静まれ私の腕よっ……!!」的な中二病の発作とかネットミーム「邪気眼」のようです。この中二病ムーブについては彼女の信仰が深く関わっており、親密になると色々と本当の理由を話してくれます。じっくりとお付き合いしましょう。

大きなイベントをこなした後、野営地で宴会が開かれる。シャドウハートとロマンチックな関係になることも……

 シャドウハートの黒髪前髪パッツンなルックスやメイクは、ゴシック少女っぽいですね。不思議と中二病ムーブが馴染んで、謎めいた彼女の事をもっと知りたくなります。

 それに彼女がハーフエルフというのも萌えポイントです。サウロンの作った「ひとつの指輪」を巡るファンタジーの古典『指輪物語』や『D&D』の影響を受けた日本のファンタジーの先駆け『ロードス島戦記』、大人気放送中の『葬送のフリーレン』など、純血のエルフは長命でどこか超然としたところがあります。

こっそり野営地を抜け出してプレイヤーと一夜を共にするイベント。会話もダイスロールで判定される

 しかしハーフエルフは人とエルフの狭間で生きる不遇な種族として、たいてい何かしらの問題を抱えているものです。『ロードス島戦記』の「リーフ」や『最果てのパラディン』の「メネルドール」、来年アニメが放送される『ダンジョン飯』の「マルシル」がその代表でしょうか。彼、彼女の抱えた問題を解決することで関係性が深まるのです。

 中二病チックでゴスで色々不遇っぽい黒髪ハーフエルフ、それがシャドウハートです。洋ゲーではこういった造形のキャラは珍しく、心惹かれるキャラとなりました。

イケメンハイエルフに押し倒される

虐げられた生い立ちから力を求めるアスタリオン。吸血衝動以外にも色々とワケありな人物だ

 魅力的なのは女性キャラだけではありません。男性キャラも色々な属性が揃っており、それぞれに魅力的です。特に“属性の全部盛り”と思えるのがアスタリオンです。彼は美貌のハイエルフにして、血を求めるヴァンパイア・スポーンです。

 イケメンでエルフでヴァンパイアで血を吸う、しかも200年もの間、主のヴァンパイアに奴隷として搾取され続けたせいで、性格が捻くれてしまっているという大変「美味しい」背景があります。陰のある曲者の美青年っていいですよね。

 蛮族をロールプレイしていた筆者ですが、実は野営中にアスタリオンに押し倒されて、無理やり吸血されたことがあります。アスタリオンと十分なコミュニケーションをとらないまま、数回野営すると突然押し倒して吸血してくるのです。この時、はじめて彼が血を求めるヴァンパイア・スポーンだと判明します。

野営地ではリラックスできる服装に着替えている。シャツの胸元の「ひだ」が装飾的で貴族チック

 あまりにも顔が近すぎるので、のしかかってくるアスタリオンを跳ね飛ばそうとダイスロールをしたのですが、まさかの失敗。不本意ながら、まるでBL(ボーイズラブ)のような展開になってしまいました。このようにキンメリアのコナンのような蛮人の首筋から血を吸いたがる皮肉屋の美青年と旅をするのも一興でしょう。

 その他のオリジンキャラも違った個性があり魅力的ですので、簡単に紹介しておきましょう。

 まず、定期的にマジックアイテムを体内に吸収しないと「大変なこと」になってしまう魔法使いのゲイル。

巨大都市ウォーターディープ出身の天才ウィザード。飄々としてインテリなユーモアの持ち主

 弱者を護る「辺境の刃」と名高いウォーロックのウィル。

力とひきかえに地獄のゲームに参加することになってしまったウィル。物語序盤ではカーラックを追っている

 10年にわたって地獄で酷使されたティーフリングのカーラック。

地獄のアーチデヴィル「ザリエル」のもとで胸に地獄の動力炉を埋め込まれ、兵士として酷使されたカーラック。斧だけを背負って自由を求め逃亡した

 記憶を失って謎の殺人衝動に駆られるダークアージ。

竜のような頭部はドラゴンボーンという種族の証。自身に潜む闇の衝動以外に一切に記憶がない

 このようにシャドウハートやアスタリオン以外にも、魅力的なキャラクターはたくさんいます。しかもそれぞれに複雑な背景があるので、一度のプレイでは味わいつくせないほどのボリュームです。

ファンタジー好きにはぜひプレイしてほしい

地下世界アンダーダークにあるキノコ人間「マイコニド」の集落。地上と異なる妖しく幻想的な美しさ

 キャラクターデザインや容赦のない導入から、どうしてもガチガチの洋ゲーっぽく見えてしまうかもしれません。しかし、基本はみんなが親しんでいる「剣と魔法の世界」です。ファンタジー系作品が好きな人ならすんなり馴染んで楽しめるでしょう。

 また壮大な群像劇でもあることから、日本のファンタジー系のアニメやゲームだけでなく、海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のような作品が好きな人にも自信を持ってオススメできます。

 本作は今の日本ファンタジーの源流に近い系譜の作品です。年末年始のお休みのお供として、ぜひ一度遊んでみてはいかがでしょうか。

(文=レトロ@長谷部 耕平)

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