LINEマンガ連載『百合にはさまる男は死ねばいい!?』言葉にできない感情にもだえる青春ドラマ[PR]
数々のオリジナル連載がファンの支持を集めている「LINEマンガ」のなかで、『百合にはさまる男は死ねばいい!?』は、ある意味タイトルに騙されるともったいない(?)作品。高校の吹奏楽部を舞台に、一色に染まらないさまざまな感情が去来する人間ドラマに、きっとあなたも身もだえするはず……?
一方通行の感情の重なり合いに、思わず胸がぎゅっとなる
「LINEマンガ」の人気オリジナル作品のなかでも『百合にはさまる男は死ねばいい!?』は、インディーズ投稿から多くの読者の支持を集めてレギュラー連載となり、「次にくるマンガ大賞 2022」100作品にもノミネートされている注目作品です。
舞台は高校の吹奏楽部。完全無欠、規則正しい生活と毎日の練習を欠かさない主人公・片桐千早(かたぎり・ちはや)は、トランペットで「1st(ファースト)」をずっと守り続けてきました。
1stとは、ソロパートなどを担当する各楽器の「顔」的存在。一般的に各楽器で一番うまく、度胸のある人が振り分けられることの多いポジションです。そんな彼女の前に、すい星のように現れた転校生・相川響(あいかわ・ひびき)は、もともと全国大会出場レベルにある強豪校のトランペット担当。音楽一家に生まれた天才に、片桐は1stの地位を奪われてしまいます。
……と、冒頭からあらゆるドラマの火種になりそうなストーリーで始まるこの作品。片桐の心情にぐっと寄り添いたくなるし、そんな彼女に、自身の「彼氏」とのキスシーンを見られた相川の、挑発的なセリフにもいちいち心揺さぶられます。
しかし片桐は、屈託のない相川の笑顔や奔放な振る舞い、そして誰よりも音楽に打ち込む彼女の姿を見て、一気に心が動きます。自分が2ndのポジションになっても、相川が加わったおかげで、きっと大会でいい成績を残せるとワクワクしはじめるわけです。いい子すぎる、ずっと応援したい。
なお、2ndだから「1stよりもヘタ」というわけではありません。2ndはハーモニー(合奏)部分を担当し、そのパートの演奏に厚みを持たせる要(かなめ)になる存在なのです。
●5話からが本番、重すぎる感情の世界に震える! 百合にはさまっている男も悪くないぞ
もうね、この段階で十分読む側の気持ちは揺れに揺れているわけです。でも、『百合にはさまる男は死ねばいい!?』の本領は5話から。ここまで踏み入れた皆さんは、重すぎる感情にあふれた世界へようこそです。
第5話以降、「片桐視点」の物語が「相川視点」へ突如、変わります。すると見えてくるのが、相川から見た音楽への思いや、片桐という存在の大きさです。
ここでいきなり、当初抱いていた「相川像」が打ち砕かれます。え、相川はあの時こんなことを思っていたの? 片桐にそんな感情を抱いていたの? 事実が発覚するごとに、奔放に見えていた相川のキャラクターがどんどん人間らしくなっていきます。
こうした視点の切り替えが、目まぐるしく起こります。吹奏楽部の仲間たちや教師、講師、そして片桐の前で相川とキスしていた彼氏の感情も、彼ら彼女らの視点でしっかりと語られます。タイトルどおり百合の間にいる邪魔者かと思いきや、めちゃくちゃいい子なんですよ、彼氏くん……。こりゃタイトルにだまされましたね、まったくもってけしからん!(いいぞもっとやれ)
話数が増えるたび、青春のなかにいる不器用な少年少女たちの、ひと言で語りつくせない感情が積もっていきます。心地よい感情の揺さぶりを、一緒に味わい尽くしましょう!
(サトートモロー)