マグミクス | manga * anime * game

のぶも生存し「ロス」少なめな『あんぱん』最終週 唯一「モデルより10年くらい早く亡くなった」キャラは

『あんぱん』最終話では、のぶの「最期」が描かれずに終わりました。そのほか、史実では亡くなっているものの、最期が描かれていないキャラもいます。

手嶌やたくやの死も描かれず

柳井のぶ役の今田美桜さん(2018年12月、時事通信フォト)
柳井のぶ役の今田美桜さん(2018年12月、時事通信フォト)

『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんとその妻の暢(のぶ)さんをモデルにしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』は、130話で完結を迎えています。最終週「愛と勇気だけが友達さ」の予告が125話で流れた際は、主人公「柳井のぶ(演:今田美桜)」の入院シーンが描かれていたため、のぶがモデルの暢さん(1993年11月、がんで死去)のように亡くなってしまうのではないかという予想も出ていました。

 しかし、のぶは129話で病気が見付かり、130話で手術を受けた後に自分の死期が近いことを語る場面はあったものの、時間が5年進んでも最後まで元気な姿を見せています。暢さんは1988年に末期がんが見付かるも、やなせさんの献身的支えもあって回復し、医者の余命宣告より5年も長く生きました。その史実をふくらませる形で、朝ドラらしい爽やかなラストを迎えています。

 また、物語は1993年まで進んだはずですが、1989年2月に胃がんで亡くなった漫画家、手塚治虫さんがモデルの「手嶌治虫(演:眞栄田郷敦)」や、1992年5月に肝不全でこの世を去った、作曲家のいずみたくさんがモデルの「いせたくや(演:大森元貴)」の最期も描かれていません。語られていないだけで死亡している可能性もありますが、大方の視聴者の予想よりも人気キャラの死の描写が少ない最終週となりました。

 そんななか、写真ですでにこの世を去っていることが説明されたのは、のぶたちの母「朝田羽多子(演:江口のりこ)」と、「柳井嵩(演:北村匠海)」の母「登美子(演:松嶋菜々子)」、育ての親でもある伯母「柳井千代子(演:戸田菜穂)」(127話の1985年時点)の3名と、のぶがかつて秘書をしていた代議士の「薪鉄子(演:戸田恵子)」(129話の1988年時点)です。

 やなせさんの母、登喜子さんは1894年生まれで、1967年10月に73歳で亡くなりました。ドラマ内で登美子がいつ死んだのかは不明ですが、1976年のミュージカル『怪傑アンパンマン』の後、のぶたちが高知旅行に行くまでは元気に生きていたので、史実より10年ほど長い生涯となったと思われます。登美子は登喜子さんの死後にできた最初の『アンパンマン』(1969年)や絵本『あんぱんまん』(1973年)、映画『やさしいライオン』(1970年)など、嵩の作品にたくさん触れることができました。

 また、モデルとしてあまり設定が反映されているとは思えないものの、暢さんが1946年末に高知新聞を辞めて上京してから秘書を務めた高知県出身の男性代議士、佐竹晴記さん(1896年9月生まれ)は、1962年4月に65歳で亡くなったそうです。のぶが鉄子に解雇を言い渡されたのは1953年で、モデルの通りなら鉄子はその9年後にこの世を去ったことになります。千代子のモデル、柳瀬キミさんに関してはいつ亡くなったのかは不明でした。

 そして、モデルよりも明確に死期が早まっていたのが羽多子です。暢さんの母、登女さんはいくつかの書籍で、1895年生まれで1996年に101歳で亡くなったことが明かされています。娘の暢さんよりも、3年長く生きていました。視聴者の間でもこの情報がある程度広まっていたため、127話の1985年時点で羽多子が死んでいることが分かると、SNSでは驚きの声も出ています。

 史実とは違いますが、羽多子には126話で若くして亡くなった夫「朝田結太郎(演:加瀬亮)」への想いを語り、「あてだけこんなに長生きさせてもろうて、結太郎さん、残りの命をあてにくれたがかもしれん」と、涙ながらにこぼす最後の名場面が用意されていました。ドラマとしてはこの形がベストだったと言えるかもしれません。

(マグミクス編集部)

【画像】え、「美人すぎる」「羨ましい」 コチラがやなせさんが「一目ぼれ」した妻・暢(のぶ)さんの若き日の姿です

画像ギャラリー