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『ドラクエIII』ジパングは日本、じゃあアリアハンは? 「勘違い」も多い、地名の由来

私たちの住む世界と似た世界が舞台の『ドラクエIII』。かつて冒険したあの町や村は現実だとどの辺りがモデルだったのでしょうか?

「ポルトガ」「ロマリア」はわかりやすいが…「アッサラーム」は?

『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(ニンテンドースイッチ版) (C) 1988, 2019 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.(C) SUGIYAMA KOBO
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(ニンテンドースイッチ版) (C) 1988, 2019 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.(C) SUGIYAMA KOBO

 日本のゲーム史において伝説となった『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』。その後の「勇者」や「RPG」のイメージを決定づけた本作ですが、そのフィールドマップが現実世界を模していることは広く知られています。

 わかりやすい例で言えば、地図の真ん中に位置する小国「ジパング」は「日本」がモデルです。他にも砂漠の王国「イシス」はちょっと現実の地図と外れますがエジプト(なおイシスは古代エジプトの女神の名前です)。

 また北東に位置する「スー」の村も北アメリカとすぐわかります。村人は現代の感覚としては少々ステレオタイプが過ぎる表現ではありますが、マンガ等に登場するネイティブアメリカン的喋り方をします。ちなみにアメリカ先住民には実際に「スー族」という部族がいました。

 他の国はどうでしょうか。名前からすぐにわかる例も少なくありません。例えばアリアハンの次に訪れる王国「ロマリア」は位置、名前からしても「イタリア・ローマ」です。そのすぐ近くにはフランス・シャンパーニュ地方が由来の「シャンパーニの塔」がそびえます。パンツ一丁の覆面盗賊カンダタとの対面は意外にもフランスだったのです。近くにはあまりにもポルトガルな「ポルトガ」があります。

 さらに北に上ると眠りの町「ノアニール」があるのですが、現実の世界地図的には北欧ということで「ノルウェー」がモデルでしょう。実際、近くには北欧民話でおなじみの「エルフ」が住まう里があります。さらに北に向かえば「グリンラッド」、現実に即せば「グリーンランド」があります。字面からそのまま「グリーンランド」と思い違いをしていたファンも多いようです。

 イシスの手前で訪れることになる商人町「アッサラーム」。ぼったくりに「ぱふぱふ小屋」など何かとイベントが多いこの町です。現実の地図的にはイラクあたりと言えますが、はっきりはしません。「中東の栄えた町」としておくのが妥当でしょう。現に「アッサラーム」という言葉はアラビア語で「平和」を意味し「アッサラーム・アライクム」で挨拶の言葉となります。まさに中東を象徴する町なのです。

 以降のドラクエシリーズにおいて欠かせない「ダーマ神殿」はというと、これも現実の世界地図に即せば「チベット地方」あたりということで、なるほどアジア寄りなのがわかります。そこから察するに「ダーマ」という名前も仏教語で法を意味する「ダルマ」からきていると考えても良さそうです。なお「ダライ・ラマ」が由来という説も見受けられます。

●「アリアハン」を「オーストラリア」と勘違い?

 では逆に「バラモス城」や「竜の女王の城」など、現実にはありえない場所は世界地図だとどのあたりに位置していたのでしょうか。

 ラーミアに乗って向かう「竜の女王の城」。なんとも神秘的な場所でしたが、こちらを世界地図に照らし合わせてみると、おおよそロシアの西部、なんとなく首都モスクワあたりに位置していることがわかります。

 では魔王バラモスの城は現実世界だとどの辺りにあったのでしょうか。現実の地図と照らし合わせると、アフリカ大陸の中央よりやや下、だいたいですが「コンゴ」などの国がある地域と言えます。隣にある「ギアガの大穴」もモデルに関しては諸説わかれていますが、現実の南アメリカ大陸にあるギアナ高地に大きな縦穴があることから(場所こそ遠く離れていますが)そこが由来であるという説が有力です。

 ちなみにアリアハンはというと位置や形状から「オーストラリア」がモデルだと思っていた人も多数いたようです(筆者もそうでした)。実際のところ「オーストラリア」に該当するのは「ランシール」の村。思えばエアーズロックがモデルの「ちきゅうのへそ」もしっかりありました。アリアハンは架空の大陸だったのです。

 子供の頃は気づかなかったものでも、世界史の知識を多少なりとも得たあとでプレイし直すと、さらに楽しさにブーストがかかる……いつだって楽しく迎えれてくれるのが『ドラクエIII』なのです。

(片野)

【画像】『ドラクエ』のパッケ絵は、今見てもカッコいい!(4枚)

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