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長年の議題「エレキングは何色なのか」問題 そもそもの「盲点」も?

有名怪獣エレキングの「色」は何色でしょうか? そんなの「黄色」に決まっている? 「白色」? 人によって異なる不思議な「エレキング体色」問題を紐解きます。

「白色」? 「黄色」? 怪獣エレキングの色で議論が起こる理由

「CCP 1/6特撮シリーズ Vol.106 宇宙怪獣 エレキング ハイグレードVer. 全高約30cm PVC製彩色済み完成品フィギュア」(シーシーピー)
「CCP 1/6特撮シリーズ Vol.106 宇宙怪獣 エレキング ハイグレードVer. 全高約30cm PVC製彩色済み完成品フィギュア」(シーシーピー)

『ウルトラセブン』に登場する怪獣エレキングは、実に美しい怪獣です。さて、彼をめぐって長年ファンのあいだで、こんな議論が巻き起こっていることはご存知でしょうか。

 それが「果たしてエレキングの体は何色なのか?」というものです。

「そんなの一目瞭然ではないか」というお気持ちはごもっともで、筆者も当初はそのように思っていたのですが、これが見れば見るほどになるほど「何色か分からない」となるのだから面白いのです。

 一般にイメージされるエレキングの体色は、「黄色がかったクリーム色」でしょうか。これは現在販売中の「バンダイウルトラ怪獣」シリーズのソフビ人形を見れば、よく分かります。そういう意味ではまさしく一目瞭然なのですが、そう簡単にいかないのがエレキングの「玉虫色」感なのです。

 ではエレキングが初登場した、『ウルトラセブン』第3話「湖のひみつ」を見返してみましょう。セブンと死闘を繰り広げている時のエレキングは間違いなく「黄色がかったクリーム色」であり、これだけなら何ら議論を呼ぶような要素はありません。

ところが少し巻き戻して、エレキングが湖から姿を現すところに注目すると、あれ?白い? 白いです。私たちの知っているエレキングよりだいぶ体色が薄く、「体調が悪そう」ではありませんか。

 この本編中に生じる体色の変化こそ、今なお続く「エレキング何色なのか問題」を巻き起こした原因です。タイプチェンジしたならまだしも、一体の怪獣の色が同一エピソード中に変化するのは妙です。

 なぜ色が変わってしまったのかに関しては、諸説あります。もっとも有名なものはプールセットに含まれていた着色塗料が着ぐるみに移ってしまった、というものです。これは「納得感」が抜群で、広く浸透しています。

 そのほかでは、「ホワイトバランスの調整の誤差」はたまた「撮影中の塗り直した」などなど、さまざまな説が挙げられてきました。いずれにせよ、これらの説は「元は白かった」という共通認識に立脚しています。

 確かに劇中に登場する「エレキング幼体」は、何とも言えぬ青白い体色をしておりますし、何より生みの親である成田亨さんのデザイン画では「黄色」ではなく「白色」です。少なくとも、当初の体色イメージが白だったことは確かなようです。とはいえ実際に映像で確認できるエレキングは黄色がかっており、ソフビ人形も黄色っぽいクリーム色であり、「さて、本当の色とは?」いう形而上の問いに行き着いてしまいます。

 ちなみにエレキングの回が放送された、1967年のカラーテレビ保有率はわずかに3.3%でした。つまり、リアルタイムで視聴していた子供らのほとんどは、エレキングを「モノクロ」で観ていたのです。もっとも熱狂した世代である当時の子供らの主観からすれば、エレキングの体の色は「モノクロ」でしょう。盲点ではありましたが、これが「本当の色」なのかもしれません。

※記事の一部を修正しました。(2024年2月19日 11:03)

(片野)

え…ッ? 「美少女版」が? これがエレキングの衝撃的な姿です(4枚)

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