金ローで実写版『キングダム』放映 「マンガ実写化」がコスプレショーにならない佐藤信介監督の手腕とは?
王騎役の大沢たかおさんは役づくりで20kg増量

山崎賢人さん、吉沢亮さん、橋本環奈さんら、若手人気キャストを配役した実写版『キングダム』ですが、原作マンガと人気キャストをそろえれば、実写映画が完成するわけではありません。古代中国の春秋戦国時代をスクリーン上に甦らせるために、大きな役割を果たしたのは長澤まさみさんと大沢たかおさんです。
山の民の女王に扮した長澤まさみさんは本格的なアクションは初めてだったものの、華麗な二刀流の殺陣を披露してみせました。長澤さん演じる女王の凛々しい美しさなら、山の民たちが体を張って戦う気持ちも納得できるというものです。
大沢たかおさん演じる大将軍・王騎は、出番はあまり多くはありません。それでも「ンフ」「ンフフフ」と独特な笑い方をする王騎は、圧倒的な貫禄があります。王騎役を演じるために、大沢さんは徹底的に肉体を鍛え上げ、その結果、20kgも体重アップしたそうです。
長澤まさみさんの美しさと見事な剣さばき、大沢たかおさんの存在感は、どれもCGでは表現できないものです。CG技術と俳優自身の肉体表現が組み合わさることで、実写版『キングダム』は完成したと言えるでしょう。
俳優たちの芝居をきっちり見せる佐藤監督
佐藤信介監督はこれまでも、『GANTZ』(2011年)や『アイアムアヒーロー』(2016年)などの人気マンガの実写映画化を手掛けてきました。2時間前後という映画の長さに合わせ、原作コミックのエピソードをうまく取捨選択することで、『GANTZ』『アイアムアヒーロー』も成功させています。
二宮和也さん&松山ケンイチさん(『GANTZ』)、大泉洋さん&有村架純さん(『アイアムアヒーロー』)ら演技力で定評のあるキャストを起用していることも、実写映画化の成功の要因でしょう。コスプレショーにならずに、生と死をめぐる見応えのあるドラマに仕上げています。
CG描写に頼りすぎず、生身の俳優たちの芝居をしっかりと見せるのが佐藤信介監督のスタイルだと言えそうです。原作コミックを尊重し、過度な脚色をしない点も、原作ファンから信頼されています。
「夢があるから、強くなれる」
第1作のクライマックスで、信はそう断言します。はたして、信は「天下の大将軍になる」という夢を叶えることができるのでしょうか。実写版「キングダム」シリーズが、信の成長をどこまで描くのかが楽しみです。
(長野辰次)





