『ルパン三世vsキャッツ・アイ』どっちが有能か 盗むより「残したもの」が大きい?
世紀の対決とうたいながらも、引き分けに終わることが多い「対決もの」「VSもの」ですが、人気キャラクター同士の競演シーンはやはり気になって、ついつい見入ってしまいがちです。Amazon Prime Videoで配信される新作アニメ『ルパン三世VSキャッツ・アイ』は、神出鬼没な怪盗チーム同士が激突します。いったい、どんな展開になるのでしょうか。
お祭り的なワクワク感が楽しめる「対決もの」

古くは特撮映画『キングコング対ゴジラ』(1962年)や劇場アニメ『マジンガーZ対デビルマン』(1977年)、など、さまざまな「対決もの」が制作されてきました。異なる人気シリーズの主人公たちが同じ土俵で激突したら、どんな展開になるのか? 勝敗を度外視した、お祭り的なワクワク感が楽しめます。
2023年1月27日(金)から、Amazon Prime Videoにて新作アニメ『ルパン三世VSキャッツ・アイ』が世界配信されます。怪盗同士の初競演に注目が集まります。
モンキー・パンチ氏原作の『ルパン三世』、北条司氏原作の『キャッツ・アイ』は、どちらもアニメシリーズを東京ムービー(現在のトムス・エンタテインメント)が制作していたことから実現したクロスオーバー企画です。両作はアニメ界に多大な影響を与えたことでも知られています。
本編の配信前に、まずは双方の実績を比べた前哨戦を実施したいと思います。
時代を先取りし続けた『ルパン三世』

1971年にTV放映された『ルパン三世』第1シリーズは、伝説のアニメとなっています。裏社会を舞台に、カーアクションあり、セクシー描写あり、どんでん返しあり……。実写映画さながらの大人の世界に、当時の子供たちは衝撃を受けました。
第1シリーズの途中から、高畑勲&宮崎駿コンビが参加したことはあまりにも有名です。コミカルさを増しつつ、ウェルメイドな短編アニメとしての味わいがありました。演出によって、作品はこんなにも変わるものかということも驚きでした。
あまりにも時代を先取りしすぎて、低視聴率で終わった第1シリーズでしたが、ローカル枠でのたびたびの再放送によって人気に火がつき、1977年から第2シリーズが開始。大野雄二氏の軽快なテーマ曲「ルパン三世のテーマ」が流れ、高視聴率を記録するようになります。
劇場アニメ版の第2弾『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)もエポックメイキングな作品となりました。宮崎駿監督の手によって、ルパン三世は女性に優しく、悪党には容赦しない義賊的キャラとして確立され、幅広い人気を得るようになります。
ルパン三世というキャラクターの大きな特徴は、ハードボイルドな世界に生きるシリアスな顔と峰不二子や銭形警部の前で見せるコミカルな顔が違和感なく同居していることです。二面性のあるキャラクターぶりは、その後の多くのマンガやアニメ作品に踏襲されることになります。
次元大介や石川五右ェ門といった個性的な仲間たちと見せる抜群のチームワークも、日本のエンタメ界の人気フォーマットとして定着した感があります。
モーリス・ルブランの小説『怪盗紳士ルパン』や「007」シリーズなどのスパイ映画をヒントにして生まれた『ルパン三世』ですが、ルパン三世が盗んだものよりも、今では彼が残した功績のほうが多いのではないでしょうか。