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同じファミコンソフトなのに、性能のいいゲーム・悪いゲームがあったのはなぜ?

昔のゲーム機は性能が低く、その性能を限界まで使いこなせるかどうかは、ユーザーをゲームに注目させる大きな要因でした。それに成功し、現在まで強い印象を残すゲームがある一方で、忘れられてしまったものも多数あります。このような「違い」が起きた原因とは……?

「低性能の壁」を越えようと頑張っていた開発会社

ファミコンの制約を超えていた? 『ファイナルファンタジーIII』で、驚異的な速度で進む飛空艇ノーチラス
ファミコンの制約を超えていた? 『ファイナルファンタジーIII』で、驚異的な速度で進む飛空艇ノーチラス

 1980年代以降のファミコン時代、ゲームの数が膨大になると、ハードの性能をどこまで引き出せるかがクオリティの差につながり、売り上げを左右するという側面がありました。当時の開発者も、マンガやアニメ、映画などと同等以上の表現を望んでいましたが、昔のハードは性能が低かったため、制約の壁を乗り越えられるかどうかは、ゲームのアイデアやシナリオの善し悪しと並んで重要な課題でした。

 例えばファミコン版『ファイナルファンタジーIII』(1990、スクウェア)で見せた、飛空艇ノーチラスの驚異的な移動速度が、本来ファミコンの性能では実現できず、ある種のバグを利用したものだったという噂は有名です。その話を知らなくとも、当時飛空艇を動かした子供たちはそのスピードに驚いたことでしょう。

 また、ファミコン版『グラディウスII』(1988、コナミ)では、自機に追従するオプションがアーケード版同様に4つになりました。自機+オプション4つという状態は、ファミコンの定説「スプライト(キャラクター)が5つ以上並ぶとチラつく」を覆しており、これも随分と話題になりました。

 しかし、こうした成果を全ての会社が残せたわけではありません。それはプログラマー個人の技術差だけでなく、開発会社が独自に用意するツールの完成度も大きな要因でした。

 ゲームを開発する際、プラットフォーマー(任天堂など)からプログラム命令が提供されます。ファミコンでプログラミングを体験できた『ファミリーベーシック』(1984、任天堂)でその雰囲気を感じられます。これはプログラミング言語「BASIC」に似た言語を使い、ファミコンの機能を利用してゲームなどを作ることができるというものでした。

 マリオなどのキャラクターを簡単な命令で呼び出せて、コントローラー操作もできました。いずれもパソコンには存在しない機能で、実現したければ全てゼロから用意しなければいけません。提供されるプログラム命令とは、こうしたゲーム機専用の機能を使うためのものです。

 しかし、実際はそれらの命令だけでゲームを作るのは大変でした。例えば「2×100」を計算するのに足し算しかできなかったらどうでしょう? 確かに結果は出せますがあまりに非効率で、かけ算命令が欲しいところです。この話はあくまでイメージですが、そういう痒(かゆ)いところに手が届かない問題がありました。絵や音の分野でも同じです。

 ただ前提として、そういう便利なものが必要なら自分で用意するものなので、開発会社は独自に仕様を研究し、専用の命令や開発ツールを作って使っていたのです。

【画像】ハードの限界を「力技」で突破! 技術がスゴすぎるゲームたち(6枚)

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