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【春アニメ1話レビュー】『鬼滅の刃』は、「絶望の底からどう生きるか」を問いかける

2016年より週刊誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載中の『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)。今春TVアニメとしてスタートした本作品第1話の内容を考察しながら、その見どころを紹介します。

平和な日常が一転、「妹を救うため」立ち上がる少年の物語

アニメ『鬼滅の刃』場面カット (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
アニメ『鬼滅の刃』場面カット (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 2019年4月6日よりTVアニメとして放送がスタートした『鬼滅の刃』。2016年より「週刊少年ジャンプ」にて連載中の漫画『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)が原作で、累計発行部数350万部以上、現在15巻まで刊行されています。

 本作品の舞台となっているのは、大正時代の日本。主人公・竈門(かまど)炭治郎は、炭を売りながら、慎ましくも家族で仲良く楽しく暮らしていました。しかしある日、炭治郎は炭を売りに町へ出た際、町の人に「夜道は危ない」「鬼が出る」と引き止められ、町で一夜を明かします。そしてその家を離れた一夜の間に、鬼に家族を皆殺しにされてしまいます。

 唯一生き残っていた妹・竈門禰豆子(ねずこ)は、傷口に鬼の血を浴びて鬼に変貌しており、必死で助けようとする炭治郎に襲い掛かってきます。残酷な現実に打ちひしがれていた炭治郎でしたが、妹がたまに炭治郎に反応していることに気づきます。そこで炭治郎は妹を救うため、「鬼狩り」として彼女を人間に戻す方法を探し求める決意をしました――。

 鬼はさすがにいないと思いたいですが、何気ない日常が一瞬にして奪われてしまう、というのはこの現代の日本でも起こりうること。その時に、ただただ打ちひしがれるだけでなく、自分には何ができるのか、そこからどう生きるべきなのかを考えられるか否かは、その後の道を大きく変えていくことでしょう。

 炭治郎も、もし妹を「鬼狩り」と名乗る男に討伐されそうになった時に何もしなかったら、戦わなかったら、恐らく妹は守れませんでした。次々と襲い来る困難に絶望せず向き合ったからこそ、「妹を助ける」という道が生まれたのです。妹もきっと、自分の中の“鬼”と戦っているのではないでしょうか。

 アニメ1話で描かれているのはここまで。これから炭治郎にどんな運命が待ち構えているのか、妹は人間に戻ることができるのか。1話前半で垣間見えた炭治郎の”鼻が利く”という能力は、今後どう活かされていくのか――。今後の展開が待ち遠しい作品です。

(きこなび 月乃雫)

【場面カット】アニメ『鬼滅の刃』シリアスな展開でスタート(4枚)

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