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「ぼうけんのしょがきえる」の悲劇! ファミコンカセット「保存データ」消失の真相とは

データの安全性を優先した悲劇?

呪いの音とともに表示される、絶対に見たくない画面。『ドラゴンクエストIII』で、「ぼうけんのしょ」が消えてしまう悲劇に見舞われたプレイヤーは少なくなかった
呪いの音とともに表示される、絶対に見たくない画面。『ドラゴンクエストIII』で、「ぼうけんのしょ」が消えてしまう悲劇に見舞われたプレイヤーは少なくなかった

 では次の原因、「ゲーム開発側の安全対策」とは何でしょうか?

 不正なデータをそのまま読み込むと、どんな動作をするかわかりません。変なアイテムを持っている、知らない場所から始まる、急にゲームが止まる……いろいろです。そのためメーカーはバックアップデータを呼び出す際に、正しいデータであることをチェックするプログラムを仕込んでいました。そして、不正なデータだった場合は、意図的にそれを丸ごと消してしまっていたのです。血も涙もないですね……。

 ただ、バックアップデータの修復を試みてくれるゲームもあり、そのひとつが『ウィザードリィ』(1987、アスキー)でした。ゲームの正常な動作、ユーザーデータの保護など、どこに基準を置いていたかという考え方の違いだろうと思います。

 なお「いつデータを消すのか」はゲームによって違いました。『ドラゴンクエストIII』では、あの忌まわしい呪いの音楽が終わった後に処理を行っていたようで、音楽が鳴り終わる前にリセットボタンを押せば消されずに済んだそうです。

 これに何の意味があるかというと、不正なデータだと判断される理由が「本当にデータが壊れていた場合」だけでなく「カセットの接触不良」の可能性もあったのです。データが正常ならカセットを挿し直せば読み込めたかもしれません。消えたはずの「冒険の書」が復活したという話がありますが、それはこのケースだと推測されます。

 またデータの消えにくいゲームのなかには、「バックアップのバックアップ」をしていたものもあったようです。つまりデータを二重に保存していたということですね。とはいえ特殊なチップでも積まない限り保存容量はどのカセットも同じなので、巨大なデータを保存するゲームでは難しかったかもしれません。

 最後に……スーパーファミコンは、リセットボタンを押しながら電源を切る必要がありません。設計段階からバッテリーバックアップが前提になっていて対策が施されていたのです。もっとも、接触不良による不正な書き込みや各社の安全対策によるデータの消失はどうしようもなく、相変わらずデータが消えやすいソフトがあったようです。

 こんなことを書いていたら、『ドラゴンクエストV』(1992、エニックス)でLV99パーティを作り、友達に自慢しようと電源を入れた途端に消えたという、悲しい想い出が蘇ってきました……。

(タシロハヤト)

【そんなのあったの?】バッテリーバックアップのデータを修復する機能を備えたファミコンRPG(5枚)

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