ヒット作の「人気投票」で起きた事件 「まさかの1位」「無機物がランクイン」
推しへの「異常な愛情」が物語のラストを変えた?

●『ニセコイ』…ひとりで1500票を送った千葉県のYさん
人気ラブコメマンガ『ニセコイ』の1周年記念人気投票では、4位に輝いた橘万里花が最も注目を集めることとなりました。というのも、彼女が吹き出しにて「私に一人で1500票手描きで送ってくださった、千葉県のYさんに特別な感謝を……」という衝撃のコメントをしていたのです。
万里花が獲得した総票数は2694票、つまり、半数以上が千葉県のYさんによるものだったことになります。手描きでこの数を送るというのは、尋常ではない愛の深さです。
作者や編集部にもよほどの衝撃を与えたのか、第2回人気投票の開催告知には、「千葉県のYさん、今年もお待ちしておりますわ!!」と、さらに公式が煽る展開に。その結果……第2回の投票で、万里花は2位にランクイン。さらには、「千葉県のYさん自身」も19位にランクインするという異常事態となりました。
その後も、Yさんの愛は止まりません。2015年の万里花の誕生日には、作者に花束と「月の土地の権利書」をプレゼント。翌年の誕生日には、花束に加えて、特注と思われる『ガラスの靴』を送るなどして話題になり続けました。
猛烈なアプローチの結果、『ニセコイ』最終話にある出来事が訪れます。この回ではキャラクターたちの数年後が描かれていたのですが、万里花については、次の恋愛に向かう姿が描写されていました。そこで発していたセリフは、「さぁ!今夜のお相手はどんな人でしょうか? えーと千葉県在住の…」というもの。つまり、愛を貫いたYさんは、万里花との「見合い相手」として選ばれているのです。人気投票から、推しのキャラを振り向かせるところまで発展したのは、まさに「奇跡」と言えるでしょう。
(古永家啓輔)