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物議を醸したジャンプ漫画の最終回 「終わる終わる詐欺」「実は10年経ってました」

まさかの「バッドエンド」の最終回も?

●まさかのオチ?『ピューっと吹く!ジャガー』

アニメ映画には豪華すぎるキャストも登場? 画像は『ピューと吹く!ジャガー いま、吹きにゆきます』ポスタービジュアル (C)2009「ピューと吹く!ジャガー」FLASH MOVIE 製作委員会
アニメ映画には豪華すぎるキャストも登場? 画像は『ピューと吹く!ジャガー いま、吹きにゆきます』ポスタービジュアル (C)2009「ピューと吹く!ジャガー」FLASH MOVIE 製作委員会

 2000年より10年に渡って連載されていたギャグマンガ、『ピューっと吹く!ジャガー』(作:うすた京介)もまた、衝撃の最終回を迎えた作品です。

 ミュージシャン志望の酒留清彦(通称・ピヨ彦)が、独特の風貌が特徴的な謎の笛吹男・ジャガージュン市(通称:ジャガー)に振り回される不条理ギャグマンガの同作は、シュールな笑いで人気を集めていました。『ピューっと吹く!ジャガー』は「突如として劇中劇が始まる」「メインキャラクターが一切出ない回がある」など、フリーダム過ぎる展開も数多く見られましたが、それは最終回も変わりません。

 最終回直前の話でのジャガーの本物の父・ジャガージュン吉との再会も束の間、実の親細い線が並んだようなジャガーの目が、ずっと「閉じた状態」だったことを明かされ動揺するピヨ彦。そんななか、ジャガーはさらに「マンガがリアルの時間の流れとリンクして、作中でも10年経っていたこと」を告げます。26歳だと思っていたハマーは35歳になってハゲ散らかし、ピヨ彦も28歳になっていましたが、ジャガーはまだ20歳でした。

 驚くピヨ彦の前で、ジャガーは特徴的な髪型に見せたカツラを外し、変装のために被っていた顔の皮をはがし……といったところでマンガは完結します。

 その他のうすた京介先生の作品『すごいよ!マサルさん』の最終回は、唐突に「第2部・地獄校長編」が開始して1話のみで完結、『武士沢レシーブ』の最終回はダイジェストと年表を使って伏線を回収するという奇抜なものとなっています。最終回こそ、破天荒で唯一無二な「うすたワールド」の真骨頂が発揮される場なのかもしれません。

●ジャンプ作品としては信じられない「バッドエンド」『PPPPPP』

 2021年から2023年にかけて連載されていた音楽マンガ『PPPPPP』(ピピピピピピ)(作:マボロ3号)は、最終回の展開が衝撃過ぎたあまり、Twitterで関連する言葉が次々トレンド入りする状況となっています。天才ピアニストの音上楽音(おとがみ・がくおん)を父に持つ7つ子たちをめぐる物語の同作は、バトルやギャグ作品が主流のジャンプにおいて異彩を放ち、注目を集めていました。

 7つ子のなかで、唯一父譲りのピアノの才能に恵まれなかった主人公・園田ラッキーが兄弟たちとピアノで戦いながら、ピアニストを目指すストーリーは、一見すると「ジャンプらしくない」かもしれません。しかし、王道のバトル展開があるほか、演奏者によって異なる幻覚「ファンタジー」が表れる設定など、「週刊少年ジャンプ」らしい要素は随所に散りばめられていました。

 人気の歌い手・AdoさんもTwitterで「面白い」と絶賛、単行本の帯にもコメントを寄せており、さらに「次にくるマンガ大賞 2022」でコミックス部門で5位に選ばれるなど、メディアでの期待も決して低くなかったのですが……。

 そんな『PPPPPP』の最終回は、ラッキーのモノローグから始まります。そして、ラッキーのなかに存在していた「天才のラッキー」の人格が「凡人のラッキー」の人格から主導権を奪った後、楽音を殴って終わり……という結末を迎えます。

 凡人のラッキーにとってはまさに救いがなく、「バッドエンドにも程がある」「ショック過ぎる」など、終わり方を嘆く声も急増し、「バッドエンド」がトレンド入りする珍事を招きました。アニメ化を期待するAdoさんのツイートもあったように、メディアミックス化を期待するファンも多かった分、凡人ラッキーの報われない結末が賛否両論となったのも仕方ないといえるでしょう。

(田中泉)

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