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物議を醸したジャンプ漫画の最終回 「終わる終わる詐欺」「実は10年経ってました」

週刊少年ジャンプで連載されていたマンガのなかには、「そんなことってあり?」と読者が衝撃を受ける最終回を迎えた作品も少なくありません。最終回である意味「伝説」を残した、人気マンガを振り返ってみましょう。

面白い・面白くないではなく「衝撃」の最終回

最終的には感動的に終わったけど、ジャンプ本誌では?『銀魂 THE FINAL』Blu-ray&DVDパッケージ(アニプレックス)
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 2023年で創刊55周年を迎える雑誌「週刊少年ジャンプ」では、これまで数多くの人気マンガが連載されてきました。これまで数々のマンガが「感動の最終回」を迎え、「終わってほしくない」「もっと読みたかった」と完結を惜しむ声も出ています。

 一方で、読者が思わず困惑してしまう「衝撃のラスト」を迎えた最終回もありました。たとえば、80年代を代表する伝説のギャグマンガ『3年奇面組』から続く『ハイスクール!奇面組』は、有名な「夢オチ」とも取れるラストで、今でも語り草になっています(これから起きる「正夢」を見ていたとも受け取れるラストです)。

 今回は『ハイスクール!奇面組』の後にもいくつか出てきた、読者が困惑した「衝撃のジャンプマンガの最終回」を紹介します。

●最終ページの「みかん」にもメッセージが?『シャーマンキング』

 1998年から2004年に渡って連載されていた『シャーマンキング』(作:武井宏之)は、霊能力者(シャーマン)の少年・麻倉葉がシャーマンの頂点を決める戦い「シャーマンファイト」で、強敵たちと戦っていく物語を描いた作品です。同作では味方・敵を問わず個性豊かなキャラクターたちが登場しますが、人類への怒りと憎しみを抱く敵キャラ・ハオは特に人気がありました。

 そんな『シャーマンキング』の最終回では、ハオの元に向かう葉と仲間たちが、道中で一泊する様子が描かれています。同じ頃、地上で葉を待つヒロイン・恐山アンナはハオについて「このお話のお姫様は執念という魔王にとらわれた」と、物語の語り手・小山田まん太に語ります。アンナの言葉に噴き出したまん太は、その夜「プリンセスハオ」を救おうとする葉たちの夢を見た……という形で物語は幕を閉じるのでした。

 唐突かつ意味不明な終わり方に読者は「どういうこと?」「いつの間にか終わった」とざわつきました。さらに最終ページにはなぜかみかんが描かれていますが、これは物語が「未完」であることを表していると言われており、いろんな意味で衝撃を与えています。

 その後、『シャーマンキング』は350ページ以上にわたるストーリーの続きの描き下ろしを含めた完全版が発売、2020年には完全新作でアニメ化されています。さらに葉とアンナの息子・花が主人公の『シャーマンキングFLOWERS』をはじめとする新作や外伝の連載も始まっており、今もファンに愛される作品となっています。

●「俺たちの戦いはジャンプGIGAからだァァ!!」『銀魂』

 アニメや実写映画、ゲームとメディアミックス作品も人気のマンガ『銀魂』(作:空知英秋)は、ジャンプ本誌で2004年から2018年まで連載されていました。SFや時代劇の要素を持ちながら、ギャグ展開を見せたかと思えば、人情味あふれる名ゼリフが登場したりと、カオスな作風も人気の理由です。

 あらゆるパロディを堂々と行い、読者にも心配されるほどふざけ倒していた同作は、2018年の「週刊少年ジャンプ38号」で、扉ページにて「重大発表!!!最終回まで残り5話!!ラストスパート、お付き合いください!!」と告知されていました。

 しかし、告知通りに終わらないのが、『銀魂』です。最終章の『銀魂』は、地球の破壊を目論む「虚(うつろ)」との壮絶な戦いの果てを繰り広げるという、これまでにない王道の少年マンガ的な展開を見せていました。

 そして、作中で2年を経て、神楽に娘(?)の神流(かんな)が産まれていたり、新しい江戸の総理大臣として桂が就任していたりと、それぞれのキャラクターに大きな変化が訪れているなか、最終回の六百九十八訓「最終回を超えて行け」が始まります。虚復活の兆しから、バラバラになっていた万事屋の3人の銀時、新八、神楽が立ち上がり、彼らを中心に『銀魂』のメインキャラたちが集結、壮大な戦いが繰り広げられようとするのですが……。

 しかし、アイドル・寺門通が突然、『テニスの王子様』作者の許斐剛先生が自ら歌った「テニプリっていいな」の歌詞を歌い出すと、桂が「ページが足りん」と白状し、最終ページでは、銀時が「俺たちの戦いはジャンプGIGAからだァァ!!」と宣言して、「週刊少年ジャンプ」本誌での『銀魂』は終わりを迎えます。約14年も連載していたのに、最終回で作者自作の歌詞を載せた『テニスの王子様』のパロディをして終わる、という衝撃のラストとなりました。

 さらに、『銀魂』は「少年ジャンプGIGA」にて3回に渡って連載されるも、それでも完結できずに「銀魂公式アプリ」でついに完結しています。一部では「終わる終わる詐欺」とも称されていたように、『銀魂』はすんなり終わる方が読者のイメージとは異なる形だったのかもしれません。ジャンプ本誌最終回での、「銀魂は今週をもってジャンプを去りますが全然終わってません」「ゴリラ(近藤勲の結婚)から5回で話をまとめるのはゴリラには無理でした」などの、作者・空知英秋先生のコメントも話題を呼びました。

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