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昔、ジャンプは土曜日に買えた?  地域差があった「早売り」事情

「週刊少年ジャンプ」といえば、毎週月曜日に発売される人気マンガ雑誌です。毎週月曜日はジャンプの発売を楽しみにしている方も多いでしょう。しかし、数年前までは月曜日よりも早い時期に発売していた地域があったのです。ジャンプがコンビニや書店にならぶ背景には、さまざまな流通事情がありました。

50年にわたって「ジャンプ」が早売りされていた場所も

かつて早売りでゲットしていたファンも?(画像:写真AC)
かつて早売りでゲットしていたファンも?(画像:写真AC)

 人気マンガ雑誌「週刊少年ジャンプ」は、毎週月曜日に書店やコンビニで販売されます。合併号などの関係で発売日が前後することもありますが、公式な発売日は月曜日です。そのため「ジャンプの発売日=月曜日」と認識している方がほとんどでしょう。しかし数年前までは、月曜日よりも早く発売される「早売り」が一部の地域で見られました。

 ジャンプが月曜日よりも早く販売されていた背景には、流通事情や出版事情があります。一般的に地方への配送は、大都市圏と比べて手間もコストもかかるものです。そのため書籍を全国で同時に発売するとなると、距離の遠い地方ほど前倒しで発送することになります。

 すると販売店に早めにジャンプが入荷すれば、月曜日よりも前倒しした「フライング発売」ができてしまうのです。仮に早く入荷したとしても、大型書店などではきちんと発売日に合わせて店頭に並べますが、個人商店では発売日より早く店頭に並ぶ傾向がありました。

 出版社からすれば、早売りを禁止するよう指示を出したいところですが、出版社が取引しているのは書店ではなく流通業者です。流通業者は大都市の大型書店から地方の個人商店まで、幅広く配送業務を行っています。そのため出版社が全国各地の個人商店まで監視するのは現実的に不可能なのです。

 このような事情から、地方によっては「ジャンプの発売日=土曜日」と認識されていた場所も過去にはあったようです。実際に徳島県では、2021年までの50年間にわたりジャンプを土曜日に販売してきました。徳島県の飯泉嘉門知事も「(ジャンプが)日本で一番早く出る県」と言及したこともあり、ジャンプを土曜日に買えるという特権意識を持っていた徳島県民もいたことでしょう。

 50年続いた早売りが消滅した明確な理由は判明していませんが、配送業の慢性的な人手不足と、インターネットの発達も原因のひとつだと考えられています。働き方改革も踏まえ、土曜配送をなくし、土日が休日となる業者も増えました。

 もうひとつの理由にはSNSによるネタバレ問題も挙げられます。月曜日よりも早くジャンプを入手した読者がSNSでネタバレを拡散し、読者の楽しみを奪ってしまう行為も発生。この問題に対してジャンプのマンガ編集者が「発売日以降まで内容のtweetは遠慮いただいたきたい」といったコメントを述べています。

 フライング発売からのネタバレについては、読者からも「土曜日にジャンプ読んでネタバレ自慢はやめてほしい」といった意見もあります。ジャンプ発売日の背景には、時代の移り変わりが大きく影響しているようです。

 ジャンプが各地域の店頭にならぶまでには、さまざまな人が関わっています。毎週当たり前のように読んでいるジャンプが読めるのも、流通業者の存在があってのものです。裏で支える人たちへの感謝の気持ちを忘れずに、愛読したいものですね。

(LUIS FIELD)

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