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謎多きガンダムの「武器商人」アナハイム・エレクトロニクス 最高性能のMSを敵にも味方にも提供

『機動戦士Zガンダム』で初めて登場したアナハイム・エレクトロニクス(以下、AE)は、敵対する複数の勢力のモビルスーツを開発や生産を担当していることから「死の商人」とも呼ばれる謎めいた企業です。AEは宇宙世紀の歴史のなかで、いったいどのようなことをしてきたのでしょうか?

敵味方の両方にモビルスーツを売る「死の商人」

 アナハイム・エレクトロニクスが開発し、『Zガンダム』作中で活躍したリック・ディアスを立体化した、「HG 1/144 リック・ディアス(クワトロ・バジーナ機)」(BANDAI SPIRITS)
アナハイム・エレクトロニクスが開発し、『Zガンダム』作中で活躍したリック・ディアスを立体化した、「HG 1/144 リック・ディアス(クワトロ・バジーナ機)」(BANDAI SPIRITS)

 アナハイム・エレクトロニクス(以下、AE)は、ガンダム作品の宇宙世紀を代表する巨大企業であり、敵対する勢力双方にモビルスーツを供給するため「死の商人」と揶揄される存在です。

 もともとは北米のアナハイムに本社を置く中規模家電メーカーで、『機動戦士ガンダムUC』に登場したサイアム・ビスト(入社時の姓はビストではありません)の入社をきっかけに急成長を遂げ、月面のグラナダに本社を構える巨大企業へと変貌しました。今回は謎めいた「死の商人」アナハイム・エレクトロニクスの歩みを振り返ります。

「スプーンから宇宙戦艦まで」をキャッチコピーとするほど取り扱う業務は幅広く、MSをはじめとする軍需製品以外にも民間向けの工業製品や娯楽・金融・出版・報道・飲食などを手がけ、月を事実上の支配下に収めています。

 そんなAEが初めて登場したのは1985年の『機動戦士Zガンダム』です。月に本社を置く企業のため、反スペースノイド組織であるティターンズに対しては強い警戒心を持ち、反地球連邦組織「エゥーゴ」の出資者としてリック・ディアスやネモといった主力モビルスーツや強襲用宇宙巡洋艦・アーガマなどを供給しています。

 スポンサーとしてエゥーゴの作戦に対する強い発言権を持っており、しばしば無謀な作戦を強いることもありました。なかでも「Z」の最序盤で展開された「ガンダムMK-II強奪作戦」はAEが地球連邦に対する技術的優位とモビルスーツ発注量を維持するために執り行われた作戦であり、利益に対する貪欲さが浮き彫りとなっています。

 このとき「ガンダムMK-II 強奪作戦」への関与を疑われたAEは、火消しのために本来エゥーゴのために開発したMSマラサイをティターンズに無償提供しました。結果として強いパイプを作り上げるしたたかさも見逃せません。失敗さえもAEにとっては後に利益を得る下準備に過ぎないのです。

 結局、『Z』で展開されたグリプス戦役終了後は、地球連邦軍のモビルスーツシェアをさらに拡大し、ほぼ独占といえる状況を作り上げました。

 敵対する複数の勢力に対し兵器を供給できる大きな理由として挙げられるのが、各地に存在している工場がそれぞれ「独立採算制でほぼ別会社」という組織体系を取っている点です。他の工場が何をしているのか把握できないため、仮にどこかの勢力に「うちの敵にモビルスーツを渡しているんだろう?」と咎められても、内心「多分あそこがやっているだろう」と思っても、知らぬ存ぜぬを通せるのです。

【画像】敵味方両方に提供、どんどん巨大化していったアナハイム製の高性能MSたち(5枚)

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